証券口座「乗っ取り」の全貌と犯罪阻止への一手、犯行グループが株売却に使っている口座の特定を急げ
預金取扱金融機関においては、すでに口座開設時の端末とログイン時の端末が異なる場合には転売や乗っ取りの懸念から、場合によっては利用を停止する手法が確立し始めている。証券会社も同様の取り組みを進めることで売り用口座を早期に発見できれば、今般の金融犯罪の防止に向けて非常に有益となる。
犯行グループの売り用口座であることが確定した場合には、口座開設時に申告された個人情報や端末情報などを「ブラックリスト化」するほか、日本証券業協会などを通じて、その情報を業界内で共有することも肝要だ。
売り用口座の出金先として使われている銀行口座についても、銀行業界と情報共有を進めることができれば、さらなる不正防止につながるだろう。
フィッシングの3割が「証券」
フィッシングによるIDやPWの詐取は、私が知る限り、これまで証券業をターゲットとしてこなかった。それが最近では、当社で検知しているフィッシングサイトの3割前後が証券業となっている。
不正ログインによる株価操縦という新たな金融犯罪を覚えた犯行グループにとって、証券業をターゲットにした今般の手口は、非常に効率よく多額の利益を稼げると考えているはずだ。
これまでにない脅威が顕在化した今、証券業界は多要素認証を通じて被害の低減に取り組む合意形成をしているが、これに加えて売り用口座の早期検知と凍結を通じた補償の体制構築を、官民連携のもと業界全体で行っていかなければならない。
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