入構手続きを終えた各製造装置メーカーの作業者が最初に行うのは、装置の設置場所に原寸大の装置レイアウト図を張り付けることだ。各用力の取り合い口をマーキングし、それらに間違いがないことを接続業者と確認するのである。
このような用力準備を経て、ようやく製造装置の納入に進む。ただ、装置の搬入も簡単ではない。製造装置によっては50を超えるブロックに分解されて搬入されるものがあり、それらを慎重に組み立ててから、用力接続作業が始まる。
用力の種類によってはモノシランなど可燃性のある特殊材料ガスがあり、これらの配管は漏れがないことを確認するリークテストを行った後に開栓される。さまざまな安全のためのインターロックも事前に提出されたリストに基づいて間違いなく機能することも確認される。
パイロットライン準備完了、その後が本当の勝負
製造装置も組み上がり、電気や用力も接続され、製造装置が試運転を行った後に所定の性能が実現できているのか性能確認が行われる。この間に自動搬送システムとの接続確認やホストシステムとの接続試験も行われる。
長い過程を要したが、ここまではあくまで半導体製造工場としての準備段階である。このパイロットラインができあがってから続く、半導体チップの試作・条件出しが本当の意味で勝負の始まりである。
半導体工場建設の概要を説明したが、その困難さが少しでも理解されたのなら幸いである。SNSなどでは中抜き案件などと揶揄されることもあるが、安全に関わる事項が非常に多いため多くの技術者や作業者が作業を粛々と確実にこなしている。
フェスティナ・レンテ社には毎月のように社員が入社し、彼らへの教育や業務分担も随時アップデートされる。また国策プロジェクトでもあり、都度どのような判断が行われたのかも後で検証できるように文書を残す必要がある。既存の会社ではあり得ない苦労も多いだろう。フェスティナ・レンテ社はパイロットラインでの検証結果で実りあるものを出せるのか。
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