中国の暴力的な文化大革命を開始した毛沢東とトランプには、地理的にも、イデオロギー的にも、ヘアスタイル的にも共通点はほとんどないが、いずれも「反乱の主体」と評価できる。
毛沢東の無秩序への嗜好は、父親との関係に深く根ざしている。毛沢東はライターのエドガー・スノーに対して、父親を「厳格な監督者」であり「短気な男」だと表現している。父親に残忍な折檻を加えられ、しばしば家から逃げ出した。だが、毛沢東はこの「戦争」から自分を擁護する術を学んだ。「私が公然と逆らって自分の権利を主張した時には父は態度を和らげた。しかし、私がおとなしく従っていると、ひたすら私をののしり、さらに折檻するだけだった」。
父親からの虐待が人格を形成
この人格形成期の子供時代の体験が毛沢東の人となりを形作り、反体制的な政治への関心を植え付け、そのことが数十年にわたって中国を覆った混沌と無秩序の促進に貢献した。アメリカの学者で外交官のリチャード・ソロモンは文化大革命の当時、次のように書いている。「こうして、個人的な従属の鎖を断ち切ろうとする一個人固有の努力は、国家の政治的従属を克服する闘争においてより大きな意義を見出した」。
ここで注意を払うべきことは、トランプも自身の人格形成期に父親に繰り返しいじめられ、「王様」になって成功するには、「殺し屋」になるしかないと繰り返し教えられたということだ。
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