「原因不明」の危うさ--東証がシステム障害でまたも大失態
婚約中に大きなトラブルを起こして結婚が危ぶまれる--東京証券取引所が2日起こしたシステム障害は大阪証券取引所との来年の統合にも影響を与えかねない。投資家や証券会社など関係者に与えた損害も多大と見られ、2005年のシステム不具合による誤発注事件を機に起きたみずほ証券との訴訟(継続中)に次ぐ、新たな裁判沙汰になる可能性も否定できない。
事実関係を整理すると、東証は2日取引開始前に、システム障害によって株価や注文状況を証券会社や情報ベンダーに配信できなくなったとして、取引開始の午前9時から株式222銘柄、上場投資信託(ETF)12銘柄、上場不動産投資信託(REIT)2銘柄、転換社債5銘柄の計241銘柄(東証上場全銘柄の約1割)の売買を停止した。東証のシステムを利用している札幌証券取引所も全74銘柄を売買停止とした。
後場からは正常化したものの、前場は日経平均株価が市場の本当の需給を反映しない異常事態。東証は過去何度も売買停止を伴うシステム障害を起こしているが、2010年1月に稼動した新システム「アローヘッド」としては初の大規模障害となる。
2日の引け後、東証が記者会見で行った説明によれば、今回のトラブルを起こしたのは、株価など相場情報を証券会社や情報ベンダーなど60~70社へ配信する「情報配信システム」。売買注文を受け付け、マッチングさせる「トレーディングサーバ」は正常が確認されている。
情報配信システムは8つのサーバセットで構成されており、今回のトラブルは6号機のサーバで2日の未明1時27分に発生。通常なら、トラブルが発生しても、待機用の2つのサーバで自動的に処理が引き継がれる仕組みになっており、東証も当初は自動切り換え処理がなされるものと判断していた。
ところが、午前7時40分ごろになって、自動切り替え失敗が判明。東証は8時45分に待機サーバへの強制切り替えを行うが、もはや9時の寄り付きに間に合わず、241銘柄の売買停止を発表した。システムの正常化を確認できたのは午前10時ごろという。