半導体の国際展示会で際立つ中台メーカーの存在感 主役はラピダス、キオクシアなど日本勢だが…
台湾積体電路製造(TSMC)は子会社社長や幹部が講演し、熊本工場が年内に量産を始めることや、2022年に茨城県つくば市に設立した研究開発拠点の運営状況を紹介した。北九州市で工場建設を検討している半導体封止・検査(後工程)の世界最大手、日月光投資控股(ASE)の幹部も登壇した。
最終日には、科学技術政策の担当官庁である国家科学・技術委員会が「2024 AI&セミコンダクターフォーラム」と題したセッションを主催。同委員会の蘇振綱・副主任委員(副大臣)や台湾の中堅半導体企業の首脳らが登壇し、人工知能(AI)・半導体産業における日台連携の可能性を議論した。
蘇氏は、「TSMCの熊本工場は台湾の半導体エコシステムの活力を広げる動きだ。日本の活力も借りて未来に挑戦したい」と語った。TSMCは2025年に熊本で第2工場に着工する予定で、さらに日本国内で第3工場まで検討している。出展した台湾メーカーは製造装置の部品関連が多く、日本の装置メーカーと組んで新工場の商戦に食い込みたいとの声が聞かれた。
世界全体では3年連続で市場が拡大
中台メーカーの存在感の大きさは2025年のセミコンジャパンでも続く可能性が高い。
SEMIは12月9日の事前記者会見に合わせ、「世界の半導体製造装置市場が2026年まで3年連続で過去最高を更新する」との予測を発表した。中国市場は2025年にいったん縮小するものの、国・地域別では2026年まで首位を維持する。2025年は台湾市場が伸びて中国の縮小分を補い、世界全体では3年連続で市場が拡大するシナリオを描いている。
SEMIで市場調査を担当する曽瑞楡シニアディレクターによると、2025年の中国市場は、レガシー分野で巨額投資が直近3年間続いた反動で縮小する。一方、台湾ではTSMCが生成AI向けの最先端チップの製造に欠かせないEUV(極紫外線)露光装置の導入を加速し、市場が拡大する。中台が補完しあって存在感を維持する格好となる。
アメリカで2025年1月に発足する2期目のドナルド・トランプ政権が中国ハイテクの封じ込めを強化すれば、世界の半導体サプライチェーン(供給網)は台湾を巻き込む形で混乱する恐れがある。日本企業への影響も大きい。
今回のセミコンジャパンは、「またトラ」を前に中台の半導体産業の現在地を確認できたという点で有意義だったといえよう。
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