バスケ人気再燃、Bリーグ「大胆な新基準」の勝算 千葉ジェッツ再建したチェアマン島田氏の手腕
プレミアについては現在、週末と水曜日に開催している試合を毎日にするなど、アリーナの集客規模からすればハードルが高いのではないかと感じる基準もある。だが、56クラブあるクラブの社長と4年ほど議論をし、新しい審査基準について合意形成を図ってきたという。
「むしろ大変だったのは自治体やファンだった。自治体からは人口減少が進む地方で立派なアリーナをつくってどうするのか。また、ファンの皆さんからは降格するかどうかの試合が面白いのに、負けても降格しないのなら面白くないといった声もあった。この間、各クラブではM&Aや経営者の交代など経営改善を進め、集客力向上やスポンサー獲得力を強化してきた。
かつてはイメージできなかったが、今では沖縄、佐賀、群馬とアリーナが満員となり、周辺の街も盛り上がってくるという状況に変わっている。当初は無理だと思っていたとしても、山が動くことを皆が実感できたことはとても大きい。こうした例は世界的に見ても稀だと思う」
勝敗に左右されることなく持続的な経営が見込めるとクラブ経営者に評価されたこと、また大局観を持った経営者が新たに経営に参画していることも大きいという。アリーナの新設は民間のみならず、官民連携でも行われている。
「Bリーグは長くマイナーな時代を過ごしてきた。そのため、注目されなくても生きていくという野武士的な生存能力は備わっていた。マーケットが厳しい中でも生き残ってきたという強さに加え、改革によって資本が付くようになった。この資本と地域密着のハイブリッド経営が改革の本丸であり、Bリーグの強みだと考えている」
千葉ジェッツの立て直しで得た経験は生きているか?
こうした一連の構造改革を推進してきた島田氏は、倒産の危機にあった千葉ジェッツふなばしの立て直しを成功させた実績を持つ。千葉ジェッツでの経験は、Bリーグを盛り上げていくうえで、どう生きているのか。
「全部かもしれない。というのも、私がラッキーだったのは明日にもつぶれそうなチームに関わったことがスタートだったこと。幾多の苦難がありながら少しずつ経営改善して、スポンサーを増やしたり、富樫勇樹選手を獲得したり、チャンピオンにもなった。考えてみれば、底辺から頂点までの経験をした人はなかなかいない。
たまたま頼まれて千葉ジェッツの社長になって、1年契約のつもりが3年、5年と延び、気がついたらチェアマンをやっていた。私の経験は56(2024-25シーズンは55)クラブの幅の中にすべて収まる。発展途上のチームにも成長著しいチームにもアドバイスできるので、誰と話しても言葉が通じる。それが改革の支持を得た理由かもしれない」
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