【産業天気図・電子部品】在庫増大懸念が高まるが、増収増益基調は変わらず「晴れ」
電子部品業界の今06年度は業界大手がほぼそろって増収増益の見込みにあり、来07年度も『会社四季報』では全面的に増収増益が続くと予想している。ただ、回復・好況局面が2年近く続いただけに先行き懸念も強まっており、業界上空にやや雲が増えてきたことも事実だ。
10月末に経済産業省がまとめた9月分の電子部品・デバイスの在庫指数は前月比で7.4%も急上昇し、過去最高を更新。IT業界が調整局面を迎えた04年後半の水準を上回っていることで、今後在庫調整圧力が強まる恐れも出ている。10月分の在庫指数は同0.1%の上昇にとどまったが、過去最高であることに変わりはない。
もっとも、在庫増加の主因として携帯電話の番号継続制度導入に伴う機種変更需要の拡大をにらんだ一時的な在庫積み増しが指摘され、「“好まざる在庫増”ではない」との見方もある。在庫積み増し自体が業容拡大によるもの、との指摘もあり、単純に悪材料視はできない。業界の雄である村田製作所<6981.東証>は増産対応のため今期の設備投資を期初の800億円計画から1000億円へ増やすなど、セラミックコンデンサーなど部品需要の増勢に強気姿勢を続けている。
当面の焦点はクリスマス商戦の成否。新型ゲーム機上市など話題も豊富だが、商戦が活況であれば部品在庫も一掃され、業界の好況も長続きしそうだ。逆に不調に終われば在庫調整が長期化し、業界の収益を圧迫する恐れが増す。同様に、07年1月末にマイクロソフトが新型OS(基本ソフト)を発売するのに伴うパソコン買い替え需要にも注目が集まっている。
中長期的に見れば、薄型テレビの大型化・高機能化や途上国を含めた第3世代携帯電話の世界的な普及、自動車の電装化など電子部品業界の環境は悪くない。価格の下落圧力や米国景気の失速など懸念材料も多いが、今のところ増収増益基調を見直すまでには至っていない。
【中村稔記者】
(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部
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