株大暴落は「植田ショック」と歴史に刻まれるのか 窮地救った内田副総裁の講演に「市場隷属」の危険

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中央銀行は経済・物価の先行きを予想して、金融政策を運営する。一般的に金融政策の変更が経済・物価に影響するまでのラグは「半年から1年程度」(日銀OB)と言われる。

「植田ショック」の汚名の程度は半年〜1年後に決まる

7月末の追加利上げを起点にすると、向こう半年から1年の間に景気が悪化しなければ、追加利上げは失敗だった、とみなされることはない。また、景気悪化が回避されるなら、株価は底堅く推移するだろう。

そうなれば、株暴落は追加利上げに複数要因が重なった一時的な過剰反応とみなされるだろう。「植田ショック」の名は残るかもしれないが、景気悪化が回避され、日銀の見込む通りに物価が目標の2%に向かい、経済も安定成長するなら、植田日銀の名声は高まるだろう。

一方、アメリカ経済の不況入りなど海外要因であっても日本経済が悪化すれば、「植田ショック」は景気悪化の引き金とみなされるのは間違いない。

中央銀行は将来を予想するが、神の予知能力はない。予想するとは言っても、最新の経済指標は少し前のもので、経済指標は誤差もある。これについては、山口泰元副総裁が紹介した以下の比喩が秀逸だ。

「中央銀行とは前方の曇った窓ガラスとリア・ミラーと、さらには不正確な速度計を見ながら曲がりくねった道路を走る自動車の運転手のようなもの」

植田日銀の命運は、原因は何であれ、とにかく無事故で向こう半年から1年を走り切れるかどうかにかかっている。

窪園 博俊 時事通信社解説委員

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くぼぞの ひろとし / Hirotoshi Kubozono

1989年時事通信社入社。97年から日銀記者クラブに所属し金融政策や市場動向を取材。ツイッターなどで「本石町日記」として発信し、金融業界はじめ閲覧者が多い。

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