「80倍楽になった」iPadとの出合い、文字が書けない慶応生が語る「合理的配慮」 個別最適な学びを保障する学校や教員の姿とは

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圧倒的に足りていないのは「教員への投資」

高校を卒業後、有祐さんはプログラミングを学ぼうと慶応義塾大学環境情報学部に進学。大学では学びもレポート提出もパソコンで行うため、合理的配慮は受けていないという。そんな彼は洋服に興味を持ち、大学で「ファッション×テクノロジー」による新たな表現を研究する傍ら、アパレルブランドを設立。2022年からコレクションを発表し、2024年に会社を設立した。4年生になったこの4月から大学は休学し、事業に専念している。

大人になった有祐さんは、今の教育現場をどう見ているのか。例えば、GIGAスクール構想によって整備された1人1台端末については、自身の端末活用の経験も踏まえ、こう語る。

「アプリや機能の制限はかけず、自由に使えるパソコンを配ってもらえるといいですよね。社会に出たら目標達成までの過程でパソコンを使っちゃダメとは言われません。学校では、なぜ質の高い学びやパフォーマンスを手に入れるための制限をかけられなければいけないんだろうと思います。能力を培うレギュレーションと能力を評価するレギュレーションは分けて考え、ICTを活用するべきではないでしょうか」

また、現在の日本の教育課題としては、「教育への投資」を挙げる。

「教育への投資が大切だとよく言いますが、圧倒的に足りていないのはその教育を担う教員への投資。僕は教員研修に呼んでいただく機会もあるのですが、半分くらいの先生方が寝ていることも。この現状は問題だと思っています。また、今大学生だからよくわかるのですが、学生にとって教職は就職の保険でしかないんですよね。しかし、教職はもっと“高貴”であるべき。先生方の給与を上げて環境を整え、学び続ける意欲のある教員を集めることが、子どもたちの学びの保障にもつながると考えています」

(文:吉田渓、注記のない写真:菊田有祐さん提供)

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東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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