英総選挙で起きた政権交代や仏総選挙での極右阻止、東京都知事選の「石丸ショック」について総括する。
イギリス、フランス、東京で重要な選挙が相次いで行われた。それらは違う角度から、従来自明とされた自由民主主義の危機や試練を浮き彫りにしている。
自由民主主義とは、基本的人権の尊重を前提とした代表民主主義の政治体制である。ファシズムが敗北した第2次世界大戦後、自由民主主義が先進国にとって普遍的な体制となったはずだった。だが、近年の西欧諸国における移民の流入、虚偽や扇情的な言説による大衆動員という手法の流布により、この体制が動揺している。そのもろさがこれらの選挙に表れた。
イギリスでは、下院の総選挙が行われ、労働党が14年ぶりに政権交代を起こした。しかし、それは小選挙区制が持つ第1党の勝利を増幅する効果ゆえにだ。労働党の得票率は34%にすぎなかったが、6割以上の議席を獲得した。また、右派ポピュリズム政党の改革党(リフォームUK)が14%の得票率を上げ保守党支持層を切り崩したことも、保守党大敗の一因である。
同国の政権交代は、2016年のEU(欧州連合)離脱の国民投票以降、政治・経済が混乱する中、保守党が統治能力を失ったことの帰結だ。他方、経済的困難が続く中で労働党政権にとって政策展開の余地は小さく、仮にこの政権が失敗すれば国民の不満は2大政党制自体に向けられることになる。
フランスは極右政権発足を阻止
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