為替占領 岩本沙弓著
為替に関する通念を打破してくれる。著者は現役の外為ディーラー。それだけに、記述には体験と数字の裏付けがある。たとえば、円高に対する為替介入。メディアが円高を叫ぶと財務省が介入するパターンが繰り返されてきた。が、介入で買ったドル債は長期の円高・ドル安で大幅に目減り。著者は米国の巨額な財政赤字から円高傾向は変わらず、いずれ50円台をつけると予想する。
実効為替レートの名目と実質(インフレ率や国別の貿易量を加味する)を比較し、名目は円高でも実質は1985年のプラザ合意当時と依然同水準だとして介入に疑問符を投げかける。しかも購入したドル債は日本の外貨準備の90%以上を占めているが、震災の復興財源として売却しようにもできない。著者は為替による占領の継続だと断じる。
世界的な金融波乱の前兆をスイスフランの動きで知る方法など、現役ディーラーならではの指摘に説得力がある。
ヒカルランド 1680円
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