北米貿易協定は「中国排除」の色合いを強めるか メキシコ、アメリカ、カナダで政治が動く
アメリカ産業界で懸念が高まっているのが、北米の経済発展を支えてきた貿易協定の行方だ。
北米3カ国では2025年にかけて選挙が行われ、首脳すべてが交代する可能性がある。
3カ国で最初に行われた選挙は、メキシコ大統領選。6月2日、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長が圧勝した。同氏は10月、大統領に就任予定だ。11月にはアメリカ大統領選、そして2025年10月までにはカナダ総選挙も予定されている。
各国における政権交代の臆測も影響し、今年に入ってからアメリカ産業界がにわかに懸念を強めているのが、過去30年、域内の経済発展を根幹から支えてきた貿易協定の将来だ。
2026年7月の審査で協定を更新できるか
USMCAの前身の北米自由貿易協定(NAFTA)は1994年に発効した。30年経ち、今や北米経済は一体化している。
アメリカ国勢調査局によると2023年、アメリカの物品の貿易相手上位2カ国は北米であり、メキシコは約7990億ドル、カナダは約7740億ドルであった。USMCA加盟3カ国は、国内総生産(GDP)で世界の約3分の1の規模を誇る巨大経済圏だ。
アメリカ議会調査局(CRS)によると、自動車業界では域内の数百に上るサプライヤーが数千もの部品を供給し、なかには組み立ての過程で国境を7~8回も横断する部品もあるという。
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