中学受験で「コスパ」を連呼する親に欠ける視点、子を塾漬けにしない意識とは 10代の子どもから多くの「時間」を奪う危険性
コスパの連呼は「貧乏くさい」
先ほど、「挑戦校」「実力相応校」「安全校」という表現を用いたが、その大まかな基準を紹介したい。

東京都・神奈川県であれば、2月1日より中学入試が始まるが、上記の「安全校」を2月2日午前までに確保しておけば「全敗」の憂き目に遭う可能性はぐんと低くなる。
中学受験は受験校選びさえ間違えなければ基本的にどこかしらに合格できる世界だ。挑戦校ばかりの強気の受験パターンを組んだ結果どこにも受からなかったというのなら、辛辣な言い方だが、それは親の責任である。
「中学受験をして『安全校』に進学するのは、コスパが悪いのではないか?」
そう不安に陥る保護者がいるかもしれない。ここで言う「コスパ」とは「こんなにお金をかけて中学受験をさせて、さらに中高一貫校に通わせてもなお、一流大学に手が届かなければ意味がないのではないか?」ということだろう。しかし、どんなに「難関校」と形容される学校に進学したところで、いわゆる「一流大学」に進める保証はどこにもない。それよりもわが子の中高生活が、勉強だけでなく、部活動や趣味などに全力で取り組める6年間であること、そこで出会える生涯の友、そして、支えとなる恩師の存在……こういうものに「プライスレス」な価値があるのではないかと考える。
中高一貫校の魅力は何も「偏差値」だけでは決まらない。わが子が嬉々として中高生活を謳歌できるのなら、そここそが「良い学校」なのだ。このように、少し肩の力を抜いてわが子の学校探しを始めれば、より幅広い選択肢が見つかるのではないかと思う。
先日、私はX(@campus_yano)でこんな発信をした。
すると、それに応えるように知人の塾講師がある呟きをした。これを簡約しよう。
そうならないよう、中学受験する意味を親子でもう一度熟考しつつ、わが子が日々の学習に励めるよう支えてやってほしい。本稿がその機会になれば幸いだ。
(注記のない写真:C-geo / PIXTA)
執筆:中学受験指導スタジオキャンパス代表/国語専科・博耕房代表 矢野耕平
東洋経済education × ICT編集部
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