近鉄大阪線の「ザ・ターミナル」大阪上本町の貫禄 本社・百貨店・ホテルが集中、バス乗り場を改良
その後、大軌は途中駅の布施から南へ分岐する路線を桜井方面へ延ばしていく。1931年までに系列の参宮急行電鉄(参急)によって桜井―宇治山田間が開通、大阪と伊勢が直通列車で結ばれるようになった。1941年の大軌と参急の合併により、上本町―伊勢中川間が大阪線と名付けられた。
大阪万博開催の1970年に難波線(当時の駅名は上本町―近鉄難波間)が開業、同線と一体的に運用する奈良線の電車や、名阪間などの特急列車は地下ホームに発着するようになった。
さらに2009年の阪神なんば線の開業で、近鉄奈良―神戸三宮間直通の快速急行が運行開始。駅名も現在の大阪上本町に変更した。名阪特急「ひのとり」や「アーバンライナー」などに乗って遠方から訪れた人にとって大阪上本町は地下駅というイメージが強いかもしれない。
近鉄グループの本拠地
現在の地上ホームは、日中は高安行きの普通から五十鈴川行きの急行まで、行き先と種別のバリエーションに富んだ大阪線の一般用車両が中心となる。特急の発着は朝夕の一部のみだが、「伊勢志摩ライナー」のほか、土休日は2階建ての「ビスタカー」も入線する。団体専用臨時列車の乗り降りに使われることもある。
大阪上本町駅の水本安彦駅長は1981年の入社。2020年のひのとりの運行開始時には大阪難波駅長として出発式で合図をした。大阪上本町駅には2023年11月に着任。「大阪の中心部にありながら、学校が多い文教地区でもあり、どっしりと落ち着いた雰囲気がある」と話す。「地上ホームの各線が電車で埋まったときは壮観」というターミナルならではの光景もある。
近鉄百貨店上本町店やシェラトン都ホテル大阪、近鉄本社ビルなど近鉄グループの拠点も集積する。これらは同社関連施設を多く手掛けた建築家、村野藤吾が残した作品でもある。かつての近鉄劇場跡地は、2010年に大阪新歌舞伎座が入る複合ビル「上本町YUFURA(ユフラ)」に生まれ変わった。ユフラのオフィスフロアには近鉄不動産や近鉄リテーリングといったグループの中核会社が本社を置いている。
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