TSMCの設備、生産に不可欠な露光装置も損傷せず 地震の発生から10時間以内に7~8割が復旧

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半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、3日の台湾東部沖を震源とする地震発生を受け、スタッフを退避させ、操業を一部停止していたが、24時間たたずに生産を再開する見通しだ。地震の発生から10時間以内に設備の70-80%が復旧したと明らかにした。

人工知能(AI)向け半導体で圧倒的シェアを占めるエヌビディアとアップルの主要サプライヤーであるTSMCの発表によれば、先端半導体の生産に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置にも損傷はなかった。

TSMCは「全てのEUV露光装置を含む当社の重要装置に被害はない。一部設備でわずかな装置に被害が出たが、完全な復旧を確実にするため、利用可能なあらゆるリソースを投入している」と3日夜の発表資料で説明した。

聯華電子(UMC)もスタッフが新竹と台南の製造拠点の一部施設から退避し、半導体製造装置の稼働が一部停止していたが、操業に重大な影響はなく、通常の運転と製品の出荷を再開するとした。

花蓮市の建物の倒壊現場(4月4日)Photographer: Annabelle Chih/Getty Images

AIやスマートフォン、電気自動車(EV)などの技術的基盤となる先端半導体の推定80-90%を製造する台湾企業は、グローバル経済に果たす役割が非常に大きい。

台湾では3日午前7時58分(日本時間同8時58分)ごろ、2400人余りが犠牲となった1999年の「921大地震」以来の大きな地震が発生。建物の倒壊などで少なくとも9人が死亡、1000人余りが負傷したほか、 鉱山の作業員60人余りを含む約100人が取り残されたままだ。

台湾のテック企業の一部は、地震による被害状況の確認を続けている。シティグループのアナリストは、TSMCの生産工程への影響は「対処可能」と指摘し、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのアナリストもマイナスの影響は「限定的 」と分析した。

関連記事

台湾でM7.7、99年以来の大地震-TSMCは朝までに生産再開へ 

原題:Taiwan Begins Recovery From Quake as TSMC Resumes Production(抜粋)

(被害状況やアナリストの見解を追加して更新します)

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著者:Debby Wu、Chien-Hua Wan

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