2024年首都圏中学入試は「受験率上昇」、話題のユニークな出題と来年以降予測 2026年入試は「サンデーショック」の影響あり
2024年の私立中入試問題では、どの学校の入試問題でも極端な難問、これまで見たことのないまったく新しいタイプの問題はほとんど見られませんでした。難関校の入試であっても、基本的な定番問題の組み合わせや、典型的な解法のかけ合わせで解ける問題が目立ちました。
【2024年入試のユニーク問題実例】
一方、なかにはユニークな問題も見られ、2024年入試では次のような問題が話題になりました。
国語では攻玉社が加工前の写真と、加工後の複数枚の写真から、設問文の内容にあった写真を選択させる問題を出しました。
算数では、開成、豊島岡女子、駒場東邦などが、今年の西暦である「2024」という数字を題材にした問題を出しました。
理科では、芝が大谷翔平選手の活躍を題材にした打球の軌道の問題、女子学院がトマトの断面図を選ばせる問題や種の位置を書き込ませる問題などを出し、受験生の日頃の観察力を問いました。
社会では、筑波大附属駒場が、明治神宮外苑の再開発事業について「計画に反対する立場からの主張の根拠」を考えさせる問題を出し、SNS上でその問題の妥当性について物議を醸しました。また、多くの学校で「ジェンダー」「新紙幣」「物流2024年問題」「災害」などの時事問題が出され、日頃から社会で起きていることへの関心を問う学校側の姿勢がうかがえます。
中学受験を考えている保護者が知っておくべきこと
2025年入試では、例年2月2日に入試を行うミッション系の一部の学校の受験日が変更されます。すでに青山学院は2月2日から2月3日に入試日を移動することを発表しました。
さらに、新5年生が受ける2026年入試は、例年2月1日に入試を行うミッション系の一部の学校の受験日が2月2日に移動するという、いわゆる「サンデーショック」の年にあたります。入試日が変更されると、ミッション系以外の超難関校を第一志望校にする子にとっては、受験できる学校の選択肢が増えてチャンスになるのですが、ミッション系の難関校を目指して受験する子にとっては受験者が増えて不利に働きます。
このように、2025年入試、2026年入試は、例年と異なる受験動向になることは間違いありません。志望校の受験日がどうなるかは、事前に確認しておく必要があります。
一方で、日々の子どもへの学習サポートは、この数年で大きく変わることはありません。わが子の学力、特性にあった学習塾や学習環境を用意し、塾からの宿題は取捨選択してあげてください。塾の宿題をすべてやり切ることを優先するあまり、子どもの心身に負荷がかかりすぎては元も子もありません。
前述したとおり、昨今の入試は「思考力・判断力・表現力等」を問う問題が増えています。このような力は心身にある程度のゆとりがあってこそ、培われていくものです。
一見難問に思える問題でも、要素を分解すれば、基本問題の組み合わせにすぎません。基礎の理解を深めることが、応用問題・発展問題を解く力につながります。中学受験は「急がば回れ」です。目先のことにとらわれがちなわが子の中学受験サポートですが、ぜひ、今後の長い人生のなかで中学受験を通じて得たことが生きるように、見守っていただけたらと思います。
(注記のない写真:YsPhoto / PIXTA)
執筆:教育・受験指導専門家 西村 創
東洋経済education × ICT編集部
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