若者の加担が増える「闇バイト」、無知が命取りになる「SNSや知人の紹介」の罠 「トクリュウ」に関われば「破滅の道」しかない

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一方、闇バイト要員である受け子や出し子の検挙人員は1893人と、前年に比べ24人減っているものの、総検挙人員の75.8%を占める。つまり、末端の人間ばかりが検挙されているのだ。この数字を見る限り、闇バイトの取り締まりが奏功しているとは言えないが、警察も手をこまぬいているわけではない。

警察は、昨年から闇バイトに関与していると思われる者たちを「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と位置づけて取り締まりを強化した。トクリュウとは、元暴力団、準暴力団、半グレ、闇バイト従事者を含む。オール警察でトクリュウの取り締まりに当たっているので、一般の青少年が闇バイトに従事したらまず逮捕されると考えるべきである。

また、昨今、闇バイト従事者が逮捕されると、初犯者でも一般予防の観点から実刑は免れず、多くの場合、少年院や刑事施設に収容される。元検察官は、末端従事者の厳罰理由につき、「受け子・出し子・掛け子は末端の利用される存在であるとはいえ、他方、特殊詐欺組織の中では受け子・出し子・掛け子があるからこそ犯罪が敢行されるから、役割の重要性は否定できず、厳罰の必要性は末端でも変わらない」と述べている。

さらには少年法改正以降、闇バイトに関与した18歳以上の特定少年は逆送優先となっており、刑事裁判で裁かれる。少年でありながら厳罰化傾向にあるのだ。

「既に闇バイトに関わってしまった」「抜けたいけど怖い」と思っている青少年は、1人で悩まず、全国の自治体で教育庁と警察などが連携して設置している窓口「少年サポートセンター」に相談することをお勧めする。新たな被害者を出さないため、犯罪を深化させないためにも、勇気を出して電話してほしい。

環境が変わる新学期だからこそ注意したい

青少年の犯罪対策は、待ったなしである。「うちの子に限って」「大都市圏だから事件が起きるんでしょ」などという無関心や無知が、犯罪の温床となり増幅させていく。

とくに、高校や大学に進学して新生活が始まる時期は、よくない出会いも含めてさまざまな出会いがある。一人暮らしする若者もいるだろう。バイトの稼ぎだけでは物足りず、可処分所得を増やしたい向きもあるかもしれない。

しかし、ネット上には犯罪へと誘う書き込みが無数にある。バイト先の同僚やお客さんからの仕事の誘いも剣呑かもしれない。「自分は大丈夫」と楽観せず、闇バイトの勧誘には気を付けてもらいたい。

これだけ闇バイトが蔓延している現状から、学校現場でも、中学校や高校はもちろん、小学生高学年ごろからの情報リテラシー教育が求められる。先生だけでは手が回らないのであれば、学外から専門の講師を入れることも視野に入れるべきだ。

保護者も、子どもにスマホを買い与える際には、使用のルールを決める必要がある。週に一度は、子どものスマホの通信内容や不審なアプリの有無を確認することも重要だ。スマホを与える親は、子どもが犯罪に巻き込まれないためにも、見守りの労を惜しんではならない。

たった一度の判断ミスの先には、子どもたちの人生を棒に振る「破滅への一方通行の道」しかないのだから。

(注記のない写真:Graphs/PIXTA)

執筆:廣末登
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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