若者の加担が増える「闇バイト」、無知が命取りになる「SNSや知人の紹介」の罠 「トクリュウ」に関われば「破滅の道」しかない

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しかも、身近なところが接点となる。警察庁が、2023年に特殊詐欺の被疑者1079人を対象に、その供述や証拠から「受け子等になった経緯」を集計したところ、「SNSから応募」が506人(46.9%)に上り、「求人情報サイト」(53人、4.9%)や「インターネット掲示板」(21人、1.9%)も含めれば、ネット上での勧誘が半数を超えている。また、「知人等紹介」も297人(27.5%)と、生活圏での接点も油断できない。

闇バイトの勧誘は「~するだけ」「~を運ぶだけ」などと具体性に欠く仕事が多いが、いざ蓋を開けてみると、立派な犯罪である。そんな仕事で高額報酬がもらえるはずがない。このような誘いは闇バイトの可能性が高く、友人であったとしても断る勇気が必要だ。

昨年11月、台東区上野の宝飾店に3人組で押し入ったのは、18歳の少年と16歳の男子高校生だった。同年12月、埼玉県久喜市の住宅強盗では、16歳から18歳の男子高校生4人が、住人の女性を包丁やバールで脅して現金を奪っている。両事件の詳細は明らかになっていないが、SNSや地元の人間関係などが入り口となった闇バイトである可能性は十分に考えられる。

なぜ青少年たちは闇バイトに応募するのか?

しかし、闇バイトの危険性は繰り返し報道されているのに、なぜ周知されていないのか。疑問に思った筆者が、講義を担当する大学のクラス(93名登録)の学生に聞いたところ、新聞を読む者は0名、ネットニュースを読む者は1名と、報道に触れていない現状が垣間見えた。

大学生ですらこのような状況だから、一般の若者は推して知るべしである。闇バイトに応募する若者はニュースを見ていないため、その犯罪性や逮捕された時のリスクなどを理解できておらず、「高収入」「即金」などという言葉にだまされるのではなかろうか。

青少年や一般人でもスマホ環境があれば、容易に接触できるアクセシビリティーも大きい。SNSで検索してみると、闇バイトの求人には、「一から丁寧に指導します」「これは犯罪じゃない」「闇バイトじゃない」「弁護士に確認した」などと安心させようとする内容のほか、「稼げます。1日30万円から」など高額な報酬を即金で支払うような甘言が書かれている。

こうした求人にアクセスすると、多くはテレグラム(※)をインストールするように指示され、闇バイトのリクルーターとやり取りすることになる。

※テレグラムとは、通信内容の秘匿性が売りのSNSツール。LINEのようにメッセージのやり取りや音声通話ができるほか、メッセージは一定時間が経過したら自動的に消去されるように設定が可能

当然、紹介される仕事は、受け子や出し子といった特殊詐欺、タタキと呼ばれる強盗などだ。しかし、リクルーターの言葉遣いが丁寧だと、若者は恐怖を感じず、無知であればなおさら高額報酬に目がくらみ、一度だけやってみようかなと考える者がいるかもしれない。

いずれにせよ、情報不足により、警戒心が薄く安易に手を出すのだろう。しかし、この手のネット上の勧誘は間違いなく闇バイトなので、興味本位でアクセスしないように注意してほしい。

アルバイトをする際は、できればネット経由や先輩・友人の紹介を避け、発行元が信用できるメジャーな求人誌や、物理的な窓口のあるハローワークなどで探すのが望ましい。しかし、ウェブ媒体への求人掲載が主流の今、求人サイトを運営する企業も、求人掲載企業の登録に際して、属性確認を徹底するなどの対策が求められる。

捕まるのは末端の「闇バイト要員」ばかり

既出の警察庁による特殊詐欺に関する調査によると、2023年に中枢被疑者(首謀者)で検挙された者は62人(前年比21人増)と、総検挙人員の2.5%に過ぎない。

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