うつ病で休職中の男性教員、実は「更年期障害」かも?知られざる不調の対処法 管理職やミドルリーダーが気を付けるべきこと

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一方、環境変化など原因が明確で、抗うつ薬が効かず不調が続く人、あるいは抗うつ薬である程度苦しさが解消されたものの授業をする気が起こらない人は、更年期障害のうつ症状を疑ったほうがよいでしょう。

また、最近の研究では、抗うつ薬の長期間の服用や複数種類の服用でテストステロンが下がることがわかっています。そのため、うつ病で休職した教員が復職する際には、テストステロンの状態を考慮したジョブトレーニングも必要だと私は考えています。

テストステロンの補充も1つの手ですが、それだけで不調は改善しません。自分でテストステロンを生み出していくようにすることが大切で、そのためには周囲が本人を褒めることが重要。本人が周りからポジティブな評価を得ながら、児童生徒たちとの向き合い方や授業づくりを考えていけるような復職プロセスが必要だと思います。

普段からできる「予防」と「自己診断」のポイント

――授業がつらいけど、うつ病なのか、更年期障害のうつ症状なのか、わからない場合はどこで診察してもらうとよいでしょうか。

まずはすぐに医者に頼らず、自分を取り巻く環境を見直し、何が問題なのかを考えてみること。そして、友人に会って話したり、趣味や得意なことをやってみたり、テストステロンを増やしていくことを意識することが大事です。

ただ、体重が減少している場合は精神疾患の可能性が高いので、精神科に行くとよいでしょう。

一方、笑わない、イライラする、太ったという人は更年期障害を疑ったほうがいいですね。健診で体重が去年より2kg増えた、コレストロール値が高いといわれた場合も要注意。AMSスコアやADAM問診票で自己診断をしたうえで、泌尿器科、更年期外来、メンズヘルス外来などに行きましょう。

しかし、テストステロンを補充すれば楽にはなりますが、それで解決ではありません。自身の問題を見つめ、テストステロンを高めるような生活を心がけることが大切です。

――更年期障害を予防するために、生活習慣で気を付けたいことは何でしょうか。

今の日本人男性の7割は、テストステロンを高めるビタミンDが不足しています。サプリでいいので積極的に取りましょう。食べ物なら、毎日鮭を一切れ食べるといい。キノコもいいですね。

また、繰り返しになりますが、友人と会うことも大事。友人がいなければ、習い事や何らかのコミュニティーに参加する、居酒屋で誰かと会話を楽しむことなども有効です。運動は義務感でやるならやらないほうがいいですが、筋肉を使うことは大切なので、掃除などの家事は積極的にやるとよいでしょう。

――学校現場では、男性更年期障害の問題をケアしていくためには何が必要でしょうか。

先程述べた復職に向けたジョブトレーニングのほか、教育委員会が学校保健師や養護教諭に講習の場を提供し、教員が学校内で相談できるような体制をつくることも必要かもしれません。校長は、教員が互いに賞賛できるような風土づくりを心がけることが大切だと思います。

(文:國貞文隆、編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:プラナ/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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