史上最悪のデジタル性犯罪、韓国社会の抱える闇 『n番部屋を燃やし尽くせ』書評

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『n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録』追跡団火花 著
n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録(追跡団火花 著/米津篤八、金李イスル 訳/光文社/2640円/356ページ)
[著者プロフィル]追跡団火花(ついせきだんひばな)/プルとタンからなる匿名の女性2人で構成された取材チーム。「n番部屋事件」の最初の報道者。記者志望の一環として参加した「真相究明ルポ」コンクールの応募準備の中で「n番部屋」の存在に気づき、潜入取材を開始した。

日本と韓国の社会には共通点が多い。少子高齢化が急激に進んだにもかかわらずジェンダー平等の実現が遠いことは、両国の深刻な課題だ。OECD加盟国の中でも、男性が家事やケア労働などの無償労働(アンペイドワーク)に費やす時間が最も短い水準にある。男女所得格差が大きく女性の社会経済的地位が脆弱である一方、男性も伝統的なジェンダー規範を押し付けられ続ける。

ミソジニーという概念がある。単なる女性嫌いではなく、女性を自らに奉仕する隷属的な存在として認識し、家父長制的な性規範に従属しない女性を嫌悪することを指す。近年、パートナーへの暴力や不特定多数の女性をターゲットにする性犯罪がミソジニーと関連づけられることが多い。

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