いじめや授業の議論とも関連、教員は「スクールカースト」をどう考えるべきか 「学校適応感」や「学校享受感」との関連も大きい
下位グループの子どもたちにもどれだけ丁寧に関われるか
では、こうしたスクールカーストの影響を踏まえ、教員はどのような学級経営を心がけるとよいのだろうか。
「小・中学校は、所属する学級のメンバーと授業や給食、修学旅行を共にしなければならず、自分の希望で学級を変えることはできません。もっと言うと、大人の都合で学級に閉じ込められており、上下関係が存在するとそこから逃げられない状況にあります。ならばスクールカーストをなくすために学級をなくしてしまうのも1つの考え方ですが、現実的には上下関係ができるのは仕方がないことを前提に、問題が起きないようにすることが大切だと思います」
つまり、友達との関係性にかかわらず、子どもたちがいじめられることなく、学校を楽しいと思い、授業で自由に発言ができるようにすること。そのカギの1つは、教員の指導や働きかけにあるのではないかと水野氏は話す。
「学校が楽しかったからこそ先生になった方も多いと思いますが、先生方が下位グループの子どもたちにもどれだけ丁寧に関わっていくことができるかが重要であるように思います。子どもたちに快活さや明るさを一律に求めず、分け隔てなくそれぞれの強みを生かすような学級経営に努めることが大事ではないでしょうか」
今の時代はICTも活用することで、そうした学級経営や授業ができるのではないかと水野氏は言う。例えば、1人1台のタブレット端末を活用し、みんなの意見を匿名化した形で共有すれば、いい意見を持っているのにもかかわらず学級の雰囲気を気にして発言することができなかった子も意見表明がしやすくなるかもしれない。
「そのように意見が言いやすい環境は、スクールカーストの地位に関係なく学級全員にとって心理的安全性が高く、学級全体の雰囲気を変えていくことにつながるのではないかと思います。また、異年齢学級も、年齢の差があるぶん、役割が明確になりやすく、実はスクールカーストで起きるような問題が起こりにくいかもしれません。スクールカーストをなくすことは難しいですが、地位の差の意識を薄くしていく方法はきっとあるはずだと考えています」
(文:國貞文隆、注記のない写真:168owl/PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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