教師でお笑い芸人「タカタ先生」、楽しみながら算数・数学嫌いを克服するコツ 計算ドリルとドリフ好きが高じて二刀流に
僕は、お笑い芸人としても活動しています。そのため、子どもたちには「面白い算数の先生」だと思ってもらいたいと考え、九九メガネをかけて授業を行っています。九九メガネをかける“変身”は、子どもたちに「何か面白い算数のことを教えてくれるのかな」という期待感を与え、くだらないダジャレにも笑ってもらいながら授業を楽しんでもらえるきっかけとなります。
同じ言葉でも、先生自身のあり方が伝われば、子どもたちに響きやすくなるのではないでしょうか。
間違えたときは、その思考方法を振り返る
——国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)によると、日本の小学生・中学生は算数・数学の平均得点は高いのに、「算数・数学の勉強が楽しい」と答える児童生徒の割合が、国際平均を下回っています。算数・数学に対して苦手意識を抱いてしまうつまずきポイントは、どのようなところにあるとお思いでしょうか。
算数・数学のつまずきポイントは、極端なことを言うと、「全部」だと思います。というのは、そもそも算数・数学には2万年以上の歴史があり、最初は自然数から始まって、分数や小数、負の数など長い年月をかけて少しずつ積み上げられてきた、かなり抽象的な学問です。
それを教科として系統立てて学んでいくわけですが、小学生を例にとると、自然数の足し算、引き算にやっと慣れたと思ったら、分数とか小数とか新しい概念がどんどん出てきて混乱するのは当たり前。新しい概念を理解するのは、ガラケーに慣れた高齢者がいきなりスマートフォンを持たされるくらいの、相当な難しさだと思うんです。
そこで問題を間違える子どもに対して、大人が「何でできないの?」などと目くじらを立ててしまうことが、苦手意識につながるのではないでしょうか。
——苦手意識を取り払うには、どのような関わりが必要でしょうか。
子どもの間違いには、その子なりの理屈が必ずあるものです。明確な正解がある算数・数学は、「わかった!」「できた!」という成功体験を積み重ねることで、自己肯定感やチャレンジスピリットが生まれる教科。だからこそ、間違えたときは、どのような思考方法でその答えに行き着いたのかをしっかり理解し、そこからコツコツ積み直していくことが何よりも大切です。
2022年に、計算問題が今までの半分以下のスピードで解けるテクニックを紹介した書籍『小学生のためのバク速!計算教室』を出版しました。教科書に書かれているやり方でできない子でも、間違えずに確実に答えが出せる方法について解説していますが、例えばこのような書籍を読んだことがきっかけで計算にはまる子もいますし、パズルやブロックなどを通し、遊び感覚で算数・数学的思考にふれることでスイッチが入る子もいます。
算数とアートを掛け合わせたT3パズルの魅力
——タカタ先生は、数学×アートのSTEAM教育活動を提供する「日本テセレーションデザイン協会」が考案した「T3(ティースリーパズル)」を使った子ども向けのワークショップ講師としても活動されているそうですね。
数年前、数学好きが集まる交流会で、日本テセレーションデザイン協会会長の荒木義明さんと出会い、お互い子どもたちに楽しく算数・数学を伝えることをテーマに活動していることから意気投合しまして。「お笑いの力で図形の面白さを知ってもらおう」と、2023年夏からT3パズルを使ったワークショップに講師として呼んでいただいています。
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