この連載では、これまで大企業に厳しいことを書いてきた。だからして、こういう反応をいただく。
「どれだけ大企業が嫌いなんだ」
うむ。そう思われても仕方ない。
だが、私が大企業に厳しいのは、理想に近い大企業を見てしまったからだ。以来、大企業を見る目(ハードル)が上がった。
それは記者駆け出しの20代半ばのことだった。「グローバル経営」という特集を組むことになり、アメリカ企業を担当する。
私は片っ端(ぱし)から米企業にアポを入れていった。マクドナルド、P&G、アメックス、デュポン……。
ところが、実際にアメリカに飛んで経営トップに会ってみると、想像と違う。質問をしても、文章を読み上げるような答えばかり。
おそらくメディアトレーニングを重ね、最新経営用語をちりばめた回答を用意している。スマートで洗練されているが中身は薄い。
私は質問書と違う内容を聞いてみる。すると、経営トップが広報担当者を睨(にら)みつける。広報が狼狽(うろた)える。
「後で、広報から回答します」
なんだよ、自分の頭で考えてないじゃんか。わざわざアメリカまで取材に来た意味あるのか?
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