フランスが急激に「マンガ大国」になっている事情 TGV車内のエンタメアプリにも採用された

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日本のマンガは「フランス版新幹線」の車内でも読めるようになった。高速列車TGVの車内エンターテインメント用のポータルサイト「TGV inOui」を通じた電子マンガの無料配信が始動した。

コロナ禍でマンガ・アニメ熱が一段と高まった

コンテンツを提供するのは、マンガアプリのサブスクリプションサービスを手掛ける同国のMANGAS.IO。同社が2021年に立ち上げたプラットフォームのモバイルアプリは「アジアのマンガのネットフリックス」(仏『ル・フィガロ』紙)と称されるなど、注目のスタートアップ企業だ。コロナ禍でフランスにおけるマンガ・アニメ熱は一段と高まり、MANGAS.IOにも追い風が吹く。月間利用者数は現在、約15万人を数える。

同社はフランスのKaNa、Ki-oonといった業界大手だけでなく、集英社、双葉社など日本も含む世界約30の出版社と連携、プラットフォーム上に約250の作品をそろえる。利用者は月額6.9ユーロ(約1090円)で全作品の購読が可能だ。

TGVでの配信開始は、運行するフランス国鉄(SNCF)とのパートナーシップ締結に伴うもの。TGVのポータル経由で15の出版社の約50作品を提供する。MANGAS.IOの推計によれば、同ポータルへの毎月の来訪者は約200万人。

「フランスのマンガ読者の80%は30歳未満」(MANGAS.IOのロマン・レニエ社長)で、若年層の乗客の掘り起こしを図りたいSNCFと利用者増を目指すMANGAS.IOの思惑が一致した格好だ。

MANGAS.IOのロマン・レニエ社長(右)とユン・イナダ・コンテンツ部長
MANGAS.IOのロマン・レニエ社長(右)とユン・イナダ・コンテンツ部長(写真:筆者撮影)

今回の両社の提携も日本のマンガがフランスの社会に深く根付いていることを示す好例と言えそうだ。MANGAS.IOのユン・イナダ・コンテンツ部長は「SNCFが運行する列車の車内でマンガを読める状況など、かつては想像すらできなかった」と振り返る。

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