150兆円のGX投資通じ、経済の好循環を加速させる 経産省・山下局長が語る、日本経済の「勝ち筋」

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今年7月に経済産業省の経済産業政策局長に就任した山下隆一氏。復調しつつある設備投資を通じての日本経済の好循環に期待する。GXの取り組みを通じての日本経済・産業構造の再構築を目指す。

経済・産業政策について語る山下隆一・経済産業省経済産業政策局長(撮影:筆者)
今年7月に経済産業省の経済産業政策局長に就任した山下隆一氏は、経済・産業政策を指揮する。日本経済の展望や脱炭素化に向けてのGX(グリーントランスフォーメーション)の道筋についてインタビューした。

――日本経済の現状をどうとらえていますか。

長らくデフレマインドが続いてきたが、ようやくそこから脱しつつある。2023年度の国内設備投資は(1991年度以来となる)100兆円を超える見込みだと指摘されている。日本経済団体連合会は2027年度に115兆円という目標を打ち出している。こうした目標に向けて投資を加速させていく必要がある。

賃金も上がり始めた。日本労働組合総連合会(連合)によれば、2023年の賃上げ率は過去30年で最も高い数字が出ている。消費者物価指数も上昇しており、バブル期以来の高水準となっている。まさに潮目は変わりつつある。イノベーションを引き起こして生産性を高め、それを通じて賃金の上昇や雇用の増大につなげていくうえでの好機だ。日本経済の好循環のサイクルを作っていくために経済産業省としても政策を総動員していく。

カーボンニュートラルは未曾有の構造変化

――1ドル145円を超える円安が進行している。日本経済へのインパクトをどうとらえていますか。

為替の適正水準をどう見るかは難しく、コメントは避けたい。言えることとしては国内投資が促進されることにより輸出余力も生まれ、ひいてはそれによって為替の水準が変わってくる可能性もあるということだ。

――カーボンニュートラルに向けて経済・産業構造の転換をどのように進めていきますか。

カーボンニュートラルの経済・産業構造への転換は簡単なことではない。化石燃料の活用により人類は豊かな現代文明を築いてきた。その根本を変えようというのだからものすごくドラスティックな取り組みだ。

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