住友商事式“年功序列”制度、競争の促進と、きめ細かな指導育成で工夫凝らす
その1つが、賞与だ。年2回支給される賞与は、上司の人事評価を基に査定が行われ、支給される。入社2年目から査定の対象となり、3年目からの支給額に反映されるが、当然、同期生の間で一定の差が設けられる。
昇格するための「ハードル」
さらに入社5年目の「基幹職C級」から「基幹職B級」へグレード(等級)が変わるときには、キャリアパス制度で求められる3つの要件を満たすことが必要となる。これらをクリアすることができない社員は、その時点においては「基幹職B級」になることができない。
3つの要件とは、1つは英語力でTOEICの点数を600点以上獲得すること。同社で海外駐在員になるためには730点以上取ることが不可欠であり、駐在員の平均は800点前後という。
要件の2つ目は、人材育成を目的とした“社内ビジネススクール”といえる「住商ビジネスカレッジ」の講座のうち、人事部が定めた課目を受講し、その試験で一定の点数を取ること。
このカレッジには、貿易実務や会計・税務など延べ250の研修プログラムがある。講義は本社内にある大会議室などで行われ、受講者が多い課目は300人ほどになる。原則として社員自らが、受講する課目を選ぶことになっている。
その例外の1つとして、入社4年間の「基幹職C級」では、「実務研修」(入門編)の対象科目12を受講することが決まっている。「契約の実務(入門・国内契約)」「輸出入の基礎知識」「資金業務」などだ。これらの課目において、修了時点で行われる「確認テスト」で7割以上の点数を獲得することが、「基幹職B級」になるために必要となる。
3つ目の要件は、「実務研修」(入門編)の学習内容をより深くした「実務研修」(基礎編)の10科目を学習すること。「商社における財務業務の基礎知識」「法人税務基礎」や「予算制度・業績管理制度」などだ。それらの修了時点で行われる「総合テスト」で、全科目7割以上の点数を取らなければならない。
試験問題の作成や採点などにかかわる人材開発チーム長の西條浩史氏は言う。
「高い成果を生み出すことができる、揺るぎない力をこの10年間で身に付けさせたい。合格点を取ることができない場合には、課目により追試を行うこともある」