「蓑手章吾×川上康則」&「戸ヶ﨑 勤×今村久美」が語る、これからの学校のあり方 子も教員も自由に、前例にとらわれない改革を

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オンラインで小規模高校の探究学習支援や不登校支援を実現

今村久美氏

「どんな環境に生まれ育っても未来をつくり出す力を育める社会」を目指して23年前から活動してきたNPO法人カタリバの今村久美氏は、オンライン上で学校・子どもたちを支援する取り組みを紹介した。

1つは学校横断型探究プロジェクト。2022年から高校の新学習指導要領で探究学習が導入されたが、少子化が顕著な地方では生徒数や教員数が少ない小規模校が多く、生徒同士の議論や、生徒の探究テーマと教員の専門性をマッチングさせることが難しい。探究学習が十分に機能していないのも実情だ。「高校がゼロまたは1校しかない自治体は約64%に上る。私自身も保育園から高校まで同級生の顔ぶれが同じという地方で生まれ育ったが、同調圧力が強く固定化した人間関係の中で生徒がチャレンジするのは難しい」と今村氏は語る。

プロジェクトでは小規模校をオンラインで結び、同じテーマに関心を持つ生徒が学校の枠を超えてグループをつくり、テーマに近い知識を持つ教員が担当につくようにしている。各校のリソースを共有することで、外部専門家らをゲストに招きやすくなる利点もある。

もう1つは、オンライン不登校支援プログラム。メタバース上に臨床心理士らを配置し、不登校の子どもが他者とつながる機会を提供。オンラインの学び場や相談窓口もある。近年、不登校や長期欠席は急増しているが、受け皿となるフリースクールや不登校特例校には質・量ともに限りがあり、不登校児童生徒の約3分の1は支援を受けられていない。今村氏は「人とつながらないことに慣れると引きこもりにつながる。家から出られなくても、人とつながれる場があることが大切」と説明した。

この不登校支援プログラムには戸田市教育委員会も参加。プロジェクト開始当初はなかなか、複数の自治体間でオンライン上のスペースをシェアするという考えが受け入れられなかったが、「戸田市が参加してくれて実績ができたことで、ほかの自治体にも広がった」(今村氏)と振り返った。

ICTと教育の今後について今村氏は、「オンラインでできることが増えると、学校は子どもたちの感情がぶつかる場としての価値が重要になる」と予想。戸ヶ﨑氏は「使わない知識をたくさん持たせるより、クラウドを活用して限られた知識を巧みに使えるようにすることが大切。戸田市の事例はオープンにしているのでどんどん活用してほしい」と語った。

▼アーカイブ動画はこちらから
(申込期限:2023年10月25日、視聴期限:2023年10月30日)

https://toyokeizai.net/sp/sm/summerfestival2023_archive/

(文:新木 洋光、写真:東洋経済撮影)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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