【リポート】国内・海外大学の総合選抜型(AO)入試に必要な知識と指導とは エッセイ・推薦状に生徒の「ブランド」を出して
米国大学の総合選抜型入試で、共通学力テスト(SATやACT)が考慮される平均的な割合は25%程度しかない。残り75%は、GPA(高校の成績評価)や、複数の大学共通で利用できるサービス「コモンアプリケーション」などを通じて大学に送るエッセイや推薦状などの入学願書が占める。
エッセイの課題では、
・「常識的なことについて『これは違うのでは』と思ったことがありますか。それにどうアプローチしましたか」といった、常識を覆すアプローチ
・「ほかの人に感謝されたことはありますか」といった、コミュニティーへの貢献
――などが問われる。
そのエッセイを通じて示される人物像が、大学が期待する学生像と合うかが重要になるわけだが、山脇氏は「コロナ禍でSATやACTが受験できない中で、学力テストを考慮しないと宣言した大学もある。大学側はリーダーシップ活動やコミュニティーへの貢献度をより重視するようになっていて、部活動の大会成績など課外活動を含め多様な要素を考慮する。学力テストの割合が下がる傾向は今後も強まるのではないか」と話した。
入試を突破するエッセイと推薦状を書くための4ステップ
エッセイでは、志願者自身のやりたいこと、ブランド、パーソナリティーを示して、「だから、この大学は自分に合っている」というナラティブ(自分の物語)で読み手を引きつける必要がある。魅力的なナラティブを書くには、自身を見つめ、将来を考える体系的なアプローチを積むことが求められる。そのアプローチを、参加者の教育関係者たちが自ら体験することで理解を深めてもらった。
ワークショップでは、ステップ1として「自分を知る」ことから始めた。この2週間で「エネルギーを感じた」「情熱を持って専念した」「没頭した」活動と、そこからパッと連想される言葉を書き留める。続けて、それらの言葉からすぐ思い浮かぶ言葉をさらに書き出す。このマインドマッピングは心理の深層をあぶり出す手法で、後から連想して書いた言葉が、本当に好きなことにつながっていると考えられる。ここから将来プランをデザインできるのだ。
ステップ2は、自分のブランドを探った。ブランディングは、ほかの志願者と自分の立ち位置の違いを戦略的に示すものであるため、「自分はこの大学に合っている」とアピールするナラティブに必要不可欠だ。参加者はチームに分かれて自分のブランドのナラティブを語り、ほかのメンバーの反応を聞くワークをした。