イスラエルめぐる「厄介さ」、議論のための手引書 『イスラエル』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』

・『逆襲する宗教 パンデミックと原理主義』

・『山林王』

・『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』

『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』ダニエル・ソカッチ 著
『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』ダニエル・ソカッチ 著/鬼澤 忍 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・東京大学大学院准教授 鶴見太郎

ヨーロッパで迫害されたユダヤ人がパレスチナの先住民を排除して国をつくった。それがイスラエルをめぐる厄介さの発端である。だが今日、問題はさらに厄介になっている。本書はユダヤ系米国人によるイスラエルの入門書にして、議論のための手引書だ。著者はサンフランシスコを拠点に、イスラエルが真に民主的になるよう働きかけるNGO(非政府組織)の代表を務める。

大義と大義のぶつかり合い? 厄介さを議論するための手引書

第1部では19世紀後半から今日に至る紛争の歴史が概観され、第2部でイスラエルのアラブ系国民や入植地、BDS(イスラエルに対する経済的抗議運動)などをいかに考えるべきかが論じられる。それぞれバランスの取れた記述でありながら単なる両論併記でもなく、著者の見解が明示されている点は潔い。

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