湿布のような半導体が工場の排熱を電源に変える Eサーモジェンテック悪名高き77歳が生む結合

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南部:発電ユニットを川重さんに売って、彼らがシステムとして最終的なお客様に広めていく。発電ユニットが川重さんの顧客の工場のプラントに入っていくわけです。また、同じ発電ユニットを自社の自主事業として他のお客様にも販売します。

餅は餅屋ですから、全部自前主義でやるという考え方は古いと思うんです。任せられるところは任せてウィンウィンでいく。それこそがオープンイノベーションの考え方、パナソニックの共存共栄とも共通しています。ただし、事業で重要な開発や検査と品質保証体制は僕らがやります。

Eサーモジェンテックのビジネスモデル

 

井上:確かにベンチャーが単独で動くよりも、川重さんのような企業の後ろ盾があるといいですね。工場のプラントの専門性も高そうです。

南部: それでも直販は残さないとダメ。市場の声が聞けなくなるから。だから大事なお客さんには直販でやる。商社とか代理店を使うことも当然あると思う。ただ彼らに頼りきりになることにはリスクもあるので自社直販は必ず残します。

技術を持つと、困りごとが集まる

井上:やはり顧客の声を聞くのは大切ですか。

南部:僕らだけで考えても絶対わからないことがたくさんあります。現場を見て、お客様のニーズを聞いて初めてわかることがある。僕が”8割おじさん”と言われている理由も実は、最初から現場のニーズを大切にしていたからなんです。

皆さんよくご存知のトップ企業からも気づきがありました。

例えば、そこの最先端の工場に行った時にですね、壁に大きなパネルがあった。そこに「温度の目視検査を忘れるな」と書かれていた。それが20カ所ぐらいに貼られている。日本の最先端の工場でも、まだそんなレベルなんですね。これを見ると、IoTが絶対に必要だなってわかります。

ただし、お客様が相談に来てくれるのは、僕らがコア技術を持っているからです。だからいろんな困りごとを持ってきてくれる。

井上:ものすごい数の問い合わせがきているそうですね。

南部:おかげさまでいろいろな企業から声がかかります。熱電発電で初めての実用可能な技術だと思われているからでしょう。

これまで500社以上の問い合わせがありました。毎月10件ぐらいいただいています。その中で特に大切な案件を選んで、いま数件の共同開発を行っています。

井上:何らかの基準で選んでいるのですか。戦略的な意図があるのでしょうか。

南部:「ここと取り組むと大事な要素技術開発ができる」というところを優先します。また、一件一件の対応ではなく、できる限り標準化することを考えて進めています。そのために僕らは、特に大事な排熱源を見極める。個別にお話をいただき、それにのっかる形で全体の戦略的な意図が生まれています。

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