南部:そうなんです。それからもう1つ思ったのは、半導体の実装技術を使えば、数が増えれば安く作れるはずだと。当時の研究動向として、最先端の半導体実装技術が250度耐熱だったんです。
だから僕はそれを組み合わせてフレキシブルにしたら、面白いんちゃうかなと思ったんですね。それでこのアイデアを調査チームに提案しました。「これやったら面白いと思います」と。
井上:おお、そうしたらどうなりましたか。
南部:全然相手にされなくて。「素人が何を言ってるんじゃ」というような感じでした。結局、無視されてチームからも外されてしまいました。
そのメンバーの人たちは材料屋さんで、半導体事業の状況を知らなかったからなんだと思うんです。アイデア自体は、僕は面白いと思ったんですね。
だから一応、自費で特許だけは出すことにしておきました。たまたまその1年後ぐらいにNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、地方の先端技術発掘事業みたいな公募があって、それに応募したところ、採択され、FS(実現可能性調査)費用として500万円ぐらいいただいた。
これが、私がEサーモジェンテックを創業するきっかけになりました。その後、この基本特許が成立したので、2013年に創業を決めたんです。
井上:まさに異分野の知識の新結合ですね。
フロントランナーには貴重な情報が早く入る
南部:現在、僕らはこの熱電発電に関しては世界のフロントランナーだと思っています。フロントランナーのいいところはいろんな情報がどこよりも早く入ることですね。確度の高い貴重な情報が一番早く手に入るポジションにいる。
熱電発電のわかりやすい用途は、照明とか監視カメラの電源かな。最近だとIoT用のエナジーハーベスト(周囲の環境から微小なエネルギーを収集して電力に変換する)電源として使えるということで注目を浴びています。
IoTのセンサーは配線コストや電池交換のコストが課題になっているんです。でも排熱パイプにフレキーナを取り付ければ、エナジーハーベストによる自立電源となるので配線工事や電池の交換が必要なくなります。
井上:センサーにしても自立電源にしても多様な技術が必要ですね、すぐに立ち上げられるのでしょうか。
南部:僕らが全部をやるわけじゃないですから。僕らの商品は発電ユニットです。それを使って、例えば川崎重工業さんと発電機を作っています。蒸気タービンを使わずに水蒸気で発電する発電機を今、作ろうとしています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら