整理収納のプロが語る、忙しい学校も今すぐ可能な「時短をかなえる片付け術」 不要なモノは子どもや教員の「安全」も脅かす

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虹色に事務用品を並べた小学校の事務室

予算がなくてもすぐできる「安全と利便性」を高めるポイント

一方、職員室は、いかに効率のよい動線をつくるかがポイントとなる。近年、非常勤の教員の増加とともに机やモノが増え、動線がうまくいっていない現場が多いという。

「職員室は教室2つ分ほどありますが、学校によってつくりや広さは異なります。だから本来は、人間工学などの知識を持った整理収納のプロが入って整備すべき最たる場所ですが、まず現場ができることは、不要なモノを取り除くことです。とくに職員室には、何のために置いてあるのかみんなが『知らない』というモノが結構ある。それらを撤去するだけでスペースができたり、通路が広くなったりすることは多いです」

これは安全にも関わる話だ。以前、ある小学校の職員室の通路に脚立の一部が飛び出していたという。つまずいてケガをしたら大変だ。聞けば手が届かない棚の中にあるモノを取るための脚立だったが、改めて確認してもらうと、棚の中身は不要なモノであることが判明。脚立も棚の中のモノも撤去した。

「手が届かないところにモノを置いてはいけません。棚の上にモノを置く学校は多いですが、それが落ちて大ケガをされた先生もいます。学校の片付けはすべての人に安全であることが重要で、他者への思いやりを持って取り組む行為だと考えていますが、子どもがいる場所なのですから、危険なモノと置いてある理由がわからない箱などの確認は今すぐ始めてほしいですね」

棚の上にモノを置くのは危険。伊藤氏は「棚の上に棚はあらず」と警鐘を鳴らす

片付けを始めると、不要だと思われていたモノが、視点を変えることで便利なモノに生まれ変わることもある。例えば、最近オフィスで立ったまま仕事をしたり打ち合わせしたりするスタイルが増えていることを参考に、使っていなかったスチール棚をスタンディングデスクにしたところ、教員たちに好評だったという。

スチール棚はゴミ箱もピッタリ収まり、スタンディングデスク、間仕切り、ゴミ箱スペースの3役をこなす便利ツールに変身

「ワゴンは教材の運搬の時短につながるので、不要な引き出しや箱、台などがあったらキャスターだけ調達して自作するのもお勧めです。また、カットしたペットボトルも透明なので中身がわかりやすく、事務室や図工室などの小物収納に便利。学校は予算が限られていますし、モノの命を無駄にせず、今あるモノで工夫したいですね」

ペットボトルをカットして小物収納として活用

子どもへの配慮で先生も楽に!大きな課題は「書類の処分」

現役の教員だった頃から、整理収納を工夫していたという伊藤氏。当時の経験も踏まえ、子どもたちが片付けやすくなる仕組みも大切だと話す。

「例えば教員時代、ほうきに番号を貼り、戻す場所にも番号を貼るということをやっていました。そうすると、うるさく言わなくてもほうきは定位置に戻ります。子どもの目線に合わせた高さにして取り出しやすくすることも重要で、こうしたちょっとした仕組みづくりで先生は楽になります」

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