整理収納のプロが語る、忙しい学校も今すぐ可能な「時短をかなえる片付け術」 不要なモノは子どもや教員の「安全」も脅かす

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学校を訪れる機会が増える中で気づいたのは、不要なモノがあふれている現場が多いことだ。原因は、教員の忙しさと異動にあると伊藤氏は見ている。

「忙しいうえに公立の学校は入れ替わりが激しいため、使われなくなったモノが処分されないまま残るケースがとても多いです。また、新しくやって来た先生はどこに何があるかわからず、5月の予算委員会で『とりあえず必要なモノ』の購入希望を出しますが、実はすでにあるモノだったということが後からわかることも。こうした状況だからこそ、片付けのノウハウが必要なのです」

まず初めにやるべきは、不要なモノを取り除く「整理」だという。そのうえで、必要なモノを使いやすく「収納」していくのが片付けの鉄則だ。「不要なモノがあるまま収納しようとするから学校は片付かない。まずは『整理→収納』の順番を守ることが大事です」と伊藤氏は助言する。

【片付けの鉄則】
整理(不要なモノを取り除く)

収納(必要なモノを使いやすくしまう)

たった1分でも毎日のモノ探しは「1年間で約6時間の無駄」

いきなり大きなモノを片付けるのはハードルが高いので、机の中やペンケースなどから始め、「まずは時短を体感することが大切」だと伊藤氏は話す。

例えば、自分の机の上や中にある筆記具をすべて出してみよう。「教職員向けのセミナーでもこの作業をしますが、100本以上のペンが出てくる先生もいます」と伊藤氏は言う。次に、使っているペンと使っていないペンを分ける。そして、使っているペンについてもボールペン、採点用の赤ペン、筆ペンなど種類ごとに分け、使用頻度の高いモノは取り出しやすい場所にしまう。

「この『出して、分けて、必要なモノだけを選んでしまう』という手順で片付ければ、モノをすぐ取り出せるようになり、時短を実感できると思います。モノを探す時間は、たった1分だとしても1年間積み重ねれば365分、約6時間の無駄です。忙しいのであれば、片付く仕組みをつくって時短することは大切ではないでしょうか」

片付く仕組みをぜひつくっておきたいのが、教職員の使用頻度が高い文房具などを管理する事務室だ。「先生方は事務室から持っていった事務用品を返却せず自分の机の中にため込みがち。しかしそれは重複購入の元となり、予算の無駄遣いになります」と、指摘する。では、どうすればよいのか。

「職員室に返却用の箱を置くのも効果的ですが、事務室の整理収納を工夫することで解決しやすくなります。先生方が返却してくれないのは、戻す場所がわかりにくいことが原因になっている場合が多い。単にきれいに並べるだけではダメで、機能別に分けてゾーニングすると効果が高いことがわかってきました」

「ゾーンを色分けした途端、先生たちが迷わなくなったと聞きます」と伊藤氏は話す

これまでの学校の片付けにおいては、筆記用具は「書くモノ」として赤色で、クリップやホチキスなどは「くっつける・まとめるモノ」として青色でゾーンを分けて収め、テープやひもなどは「巻物」としてまとめる方法が効果的だったという。また多色のモノは、虹色で並べると見た目が美しいのはもちろん、みんなが把握しやすいそうだ。

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