実際、フランスの名門高等教育機関であるパリ政治学院は1月27日、文書作成やプレゼンテーションのためにChatGPTを使うことを禁止すると発表した。また、アメリカのニューヨークやシアトルでも、公立学校においてChatGPTの使用が禁止にされたと報じられている。
アメリカのスタンフォード大学ではChatGPTで作成された文章を検出するソフトウェア「DetectGPT」が開発されたが、オープンAI自身も同様の趣旨のソフトウェアを公開。その利用の仕方をめぐってさまざまな議論が起きており、ChatGPTを取り巻く状況は混沌としている。

実際に使ってみるとわかるが、こちらの問いかけに対する精度の高さや対応範囲が広く、爆発的に利用が広まっているとみられる。時間帯によっては「ChatGPT is at capacity right now」と表示され、ログインできないことがよくある。そうした中、オープンAIは2月1日、混雑時でも使用が可能で、応答スピードも早いという有料プラン「ChatGPT Plus」(月額20ドル)を打ち出している。
現在、ChatGPTのスマホアプリは存在しないが、いずれリリースされるとみられている。今やAIの世界で目が離せない存在になったベンチャー企業は、どのような成り立ちなのか。
「DALL・E 2」「Whisper」そして「ChatGPT」
オープンAIは2015年12月、非営利のAI研究会社として設立された。ほとんどの知的作業において「人間レベルのAI」を構築し、社会に恩恵をもたらすことを目的に掲げ、世界トップクラスのエンジニアや科学者が集まった。
設立に際しては、アメリカの名門アクセラレータ―で社長を務めていた現CEO(最高経営責任者)のサム・アルトマン氏や「われわれはAIに非常に注意する必要がある。(AI)は核兵器より危険な可能性がある」と発信していたテスラのイーロン・マスクCEOといった、著名な経営者・企業などが計10億ドルの寄付を表明。記事や論文、コードなど、研究内容の積極的な発信を謳い、AIの研究開発に用いるプラットフォームを公開してきた。
オープンAIの名をとどろかせたのが2019年。ChatGPTと同様の機能を持つ旧世代の言語モデル「GPT-2」を機能制限付きで公開したところ、フェイクニュースやスパムのテキストを大量に生成すると波紋を呼んだのだ。同年、マイクロソフトは10億ドルの出資に乗り出している。
2020年にさらに進化した言語モデル「GPT-3」を発表し、2022年4月には与えられた文章に沿って画像を生成ができる「DALL・E(ダリ)2」、2022年9月にはさまざまな言語で文字起こしができる「Whisper(ウィスパー)」と、AIシステムを展開。そして同年11月、GTP3.5をベースにしたChatGPTを披露し、大旋風を巻き起こした。
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