日光・鬼怒川、閑散期の週末「運賃無料」東武の狙い 各日先着600人、エリア内の鉄道とバス乗り放題

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東武グループにとって、日光・鬼怒川のフリーデーは年末年始と春休みに挟まれた閑散期の観光需要喚起策になる。利用客には、仮に0円のフリーパスが完売で入手できなくても、日光マース内で販売するデジタルフリーパスで、発駅からの往復運賃込みで十分おトクな旅ができることを知ってもらえるきっかけになる。

日光市観光協会の福田栄仁事務局長は「本来は閑散期でイベントをやりづらい期なのでお店のモチベーションも上がる」と、地元側のメリットを説明する。観光協会は今回、八王子発の特急スペーシアに新鹿沼駅からスタッフが乗り込み、食事や買い物に使える1000円分のクーポン券を無料で配布している。

閑散期とはいえ冬季ならではの楽しみ方がある。奥日光エリアでは、スノーシュー(西洋かんじき)を履いたツアーや、凍った滝を目指す氷瀑巡りが人気という。2月11日にはSL大樹とプロアイスホッケーのH.C.栃木日光アイスバックスのコラボイベントを開催。2月25日のひがし北海道クレインズ戦(日光霧降アイスアリーナ)では、東武日光駅長による記念フェイスオフもある。

新型特急のデビューを控える

日光市は何かと話題の年になりそうだ。2023年のNHK大河ドラマは『どうする家康』。神君として東照宮に祀られるようになるには、まだまだこれから「遠き道を行くがごとし」といった段階だが、いまのうちに「紀行潤礼」を先取りしておくほうが賢明かもしれない。

7月には新型特急「スペーシアX」がデビューする。1月28日午前に東武日光駅前で開いたフリーデーのお出迎えイベントでは、スペーシアX車内で販売予定のオリジナルクラフトビールの試飲もあった。

観光協会の福田事務局長は「もう大歓迎ですよ。昔から東武さんの特急はグレードが高いことで有名なので大いに期待しています」と力を込める。思い切って運賃を無料にする閑散期の誘客キャンペーン。成功させるには自治体や観光協会など地元との日頃の連携が欠かせない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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