トヨタの新社長に託された「フルモデルチェンジ」 豊田章男社長が在任13年を超えた中で下した決断
社内外を驚かせたトヨタのトップ交代。会見で豊田章男社長は「佐藤新社長を軸とする新チームのミッションは、トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすることだ」と語った。新社長はトヨタの何をどう変えるべきなのか。
「あの日は会議中に社長交代のニュースが飛び込んできて、一同驚愕でした」(トヨタ自動車の中堅社員)。
トヨタは1月26日に社長交代を発表。4月1日付で豊田章男社長が退任し、内山田竹志氏の後任として代表取締役会長に就く。次を託されたのがエンジニア出身の佐藤恒治執行役員(53)だ。豊田社長の在任期間は13年を超えていたが、「トップ交代の予兆はなく、臨時取締役会での決定だったので唐突感が否めない」(トヨタ系部品メーカー首脳)と内外に大きな波紋を広げた。
オウンドメディア「トヨタイムズ」の緊急生放送と銘打って行った会見で、豊田社長は「変革をさらに進めるためには、私が会長となり、新社長をサポートする形がいちばんよいと考え、今回の決断に至った」と語った。佐藤氏にトップを任せたことについて、「車好き」や「若さ」を強調した。
トップ交代の「布石」はあったという見方も
佐藤氏は2020年に執行役員に就き、高級ブランド「レクサス」やトヨタのレーシングチームのカンパニープレジデントに就任。2021 年1月には豊田社長からチーフブランディングオフィサー職を引き継いだ。
カーボンニュートラルに向けた選択肢を増やそうとトヨタは2021年から水素エンジンを搭載した「カローラ」でスーパー耐久レースに参戦。佐藤氏は車両開発の陣頭指揮を取り、ドライバーを務める豊田社長と一緒に過ごす時間も長かった。
2人をよく知るトヨタ系販売会社の社長は「とてもケミストリー(相性)が合う印象。佐藤氏がレクサスのブランド改革などで実績を上げたことで豊田社長の信頼を得たのではないか」と話す。
唐突なトップ交代と受け止められたが、振り返ると布石はあったと見る向きもある。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら