和歌山県の山中に置かれたEV用急速充電器は月の利用が10回に満たないものもあった。インフラである以上、利用回数が少ないところにも必要だが、どのようなエコシステムになるか。
「採算が合わないため、契約更新は難しい」。和歌山県田辺市で2020年、「道の駅」6カ所に設置する急速充電器の充電サービス会社からこう告げられた市の担当者は「撤去するしかないのか」とうなだれた。
6カ所のなかには人里離れた地にあるものもあった。その一つ、道の駅「ふるさとセンター大塔」は紀伊山地に位置し、市街地からは近くても30分かかる。急速充電器の設置は冒頭の民間業者が2015年ごろ田辺市に提案したもので、EVユーザーの観光客が訪れることも期待して市は承諾した。
多くても1日1、2回
急速充電器は2016年に稼働開始、契約期間は5年だったが田辺市はその後も契約を更新する意向だった。だが、当初想定したほどにEVが普及せず、充電器の採算が成り立たなかった。1日10回使用されないと採算が成り立たないが、最も多く使われている充電器で1日当たり平均利用回数は1.5回にすぎなかったのだ。
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