ガソリンの価格競争をデータとゲーム理論で考察 価格情報の探索費用、「サーチコスト」が影響

✎ 1〜 ✎ 201 ✎ 202 ✎ 203 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

拡大

資源や食料品の値上げは生活を直撃する。身近なところでは2021年からガソリン小売価格が高騰している。一般に、ガソリン価格は原油価格や為替、税・補助金だけでなく、ガソリンスタンド間の価格競争によって決まる。本稿では、価格情報の収集にかける探索費用(サーチコスト)を軸に、価格競争への介入がガソリン小売価格を下げるか考察してみたい。

出発点として、隣り合ったガソリンスタンドが2軒ある街を想定する。2軒がお互いの価格付けの出方を読む戦略的状況である。

最初にサーチコストが存在しないモデルを考えよう。消費者は朝起きた時点で両店の価格を知っている。ガソリンはどこで入れても同じ(同質財)なので、立地やサービスに差がないなら消費者は1円でも安いスタンドを選ぶだろう。

この状況で、価格はどうなるか。ここでは話を単純にするため価格は「高い」と「安い」の2択とする。仮にスタンドBが高い価格を選ぶならスタンドAは価格を安くして客を総取りするインセンティブがあるし、Bが安い価格を選ぶならAも安い価格にしないと客は来ない。その結果、両スタンドはつねに安い価格を選ぶだろう。

次ページこのスタンド問題をさらにモデルとデータで検証
関連記事
トピックボードAD