資源や食料品の値上げは生活を直撃する。身近なところでは2021年からガソリン小売価格が高騰している。一般に、ガソリン価格は原油価格や為替、税・補助金だけでなく、ガソリンスタンド間の価格競争によって決まる。本稿では、価格情報の収集にかける探索費用(サーチコスト)を軸に、価格競争への介入がガソリン小売価格を下げるか考察してみたい。
出発点として、隣り合ったガソリンスタンドが2軒ある街を想定する。2軒がお互いの価格付けの出方を読む戦略的状況である。
最初にサーチコストが存在しないモデルを考えよう。消費者は朝起きた時点で両店の価格を知っている。ガソリンはどこで入れても同じ(同質財)なので、立地やサービスに差がないなら消費者は1円でも安いスタンドを選ぶだろう。
この状況で、価格はどうなるか。ここでは話を単純にするため価格は「高い」と「安い」の2択とする。仮にスタンドBが高い価格を選ぶならスタンドAは価格を安くして客を総取りするインセンティブがあるし、Bが安い価格を選ぶならAも安い価格にしないと客は来ない。その結果、両スタンドはつねに安い価格を選ぶだろう。
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