東大合格率で圧倒の鉄緑会、「中高6年の範囲を4周」抜け漏れない学びの実態 「指定校」の選定基準や「宿題大量」の真偽とは

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東大の特徴を表すために語られるのが、京都大学との比較だ。冨田氏も、「京大がゼロか100かで『ある分野に偏っても頭のいい人は絶対に入れる』のなら、東大は『最後までしっかりできた人を入れる』というイメージ」だと語る。

そう聞くと、もともと優秀な生徒たちはなおさら、自分で学習範囲を4周して合格できそうな気もする。なぜ彼らは鉄緑会に通うのか。

本部校舎でもある東京・代々木校。ここで、多くの生徒が互いに切磋琢磨しながら学力を上げていく

「1つには、優秀なライバルの存在です。学校では成績上位でも、塾にはさらに上がいるものです。『この試験で満点を取る人がいるのか』と刺激を受けるでしょう。また、講師の存在も大きいです」

鉄緑会の講師は、自らも5~6年鉄緑会で学んだ後、東大をはじめとする難関大学に合格した現役大学生だ。生徒と出身中高が同じ場合も多く、ロールモデルになるのだという。先輩の言葉は説得力もあり、親や先生の言葉よりも生徒の心を動かすようだ。

講師も、自身の経験を生かして生徒の相談に具体的な回答ができる。年齢が近いことで雑談も弾み、信頼関係の構築や生徒の状況把握が進む点もポイントだ。現役大学生講師によれば、授業も「当時の自分が苦しんだ部分は丁寧に説明する」と言い、「自分が通った塾の後輩には愛着が湧くので、つい張り切ってしまう」面もあるという。

鉄緑会には「高尚な理念がない」の本当の意味

冨田氏は、「われわれは、『教育とは』という高尚な理念を生徒に押し付けるつもりはありません」と話す。代わりに、「豊かな学生生活と受験勉強を両立してほしい」という思いがあるという。

「受験勉強は、効率よく取り組まなければ時間の無駄。逆に、効率よく必要最低限の時間を頑張りさえすれば、あとは好きなように過ごせるのです。鉄緑会で学習範囲を先取りして反復復習をしていれば、学校の定期テスト対策も不要でしょう。むしろ、勉強以外のことに時間を割く余裕が生まれると思っています」

意外なことに、中学生の授業は週に2回だけ。数学と英語に絞るのは、中学校の間は部活動や課外活動に熱中してほしいからだという。6年間かけて効率的に対策をするからこそ、ずっと根を詰める必要はないのだそうだ。

実際、鉄緑会には課外活動にも積極的な生徒が多いと聞く。受験に没頭するのではなく、中学・高校の6年間を有意義に過ごしてほしい――。「東京大学受験指導専門塾」というエッジの効いた看板の裏には、充実した学校生活で人生の素地を養ってほしいという熱きエールが詰まっているようだ。

(文:高橋秀和、写真:鉄緑会提供)

東洋経済education × ICT編集部

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