東大合格率で圧倒の鉄緑会、「中高6年の範囲を4周」抜け漏れない学びの実態 「指定校」の選定基準や「宿題大量」の真偽とは

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「鉄緑会は中1春からの入会を強く推奨しています。というのも、鉄緑会のカリキュラムは6年間で大学受験に備える構成を取っています。そのため生徒にとっても、カリキュラムの最初から取り組むほうが無理がなく楽なのです。もちろん、生徒の中には途中から入会して追いつく子もいます。しかし、とくに高校生から入会した生徒はどうしても学びの『抜け』が目立つのです」

鉄緑会の「宿題量」が多すぎるのは事実?

逆に言えば、中学1年生から鉄緑会に通えば「抜け」がなくなるのだろうか。どんなカリキュラムであれば、抜け漏れのない学びが実現するのか聞いてみた。

「高校までの学習範囲を『6年間で4周』することです。中学範囲を1年で終わらせ、高校範囲は中3までに終わらせます。進学塾とはいえ教科書レベルの基礎は1年以上かけてじっくり教えるのです。しかし、入試問題のレベルは教科書より2段階ほど高い。そこで、高1からの2周目は入試と教科書の間のレベルでもう一度全体を確認し、高2の3周目からついに入試レベルに取り組みます。高3の4周目は、入試に向けた調整ですね」

本来6年かけて履修する内容をわずか3年で終えるのだから、高水準の入会選抜試験が設けられるのも納得だ。その鉄緑会の中でも上位2割は「選抜クラス」に所属する。いずれにしてもクラスは集団指導型で、講師が例題を解いてみせた後、生徒はその場で類題を解いて理解度を確認する。なお、テキストは鉄緑会の講師が作成したオリジナル教材で、「標準クラス」も「選抜クラス」も同じものを使用するそうだ。

「鉄緑会は宿題量が多いと言われますが、実はそうでもないんです。少なくとも中学生のうちは1週間に2~3時間あれば十分取り組めます。ただし、毎回の宿題を消化しなければ復習テストで点数が取れませんし、次の授業についていけなくなるのは事実です」

一度宿題を怠ると、すぐに後れを取ってしまって追いつくのが難しい。これが、「宿題が大変」と言われるゆえんだろう。

鉄緑会で東京大学「以外」を受験するには

では、6年間かけて東大を目指す中で、受験直前に志望校を変えたくなったらどうするのか。よく「東大対策をしていれば、他大学の対策にもなる」とも聞くが、本当なのだろうか。

「東大の入試問題はもちろんハイレベルですが、比較的オーソドックスです。それに、他大学の入試問題は東大の出題傾向を参考に作成されますので、東大対策が他大学にも通用するのは事実。とくに、医学部志望の生徒は共通テスト後に志望校を変えるケースが多いです」

冨田氏によれば、東大の入試問題を総合的に見たとき「そこまで深く考えて作っているのか?」と疑問に思うこともあるそうだ。

「例えば英語は実用性重視で、難しい文法よりコミュニケーションのためのスピードが求められているはずです。化学や数学も問題数は膨大ですが、正確に計算できれば解けるため、対策次第で得点できるものばかり。あの問題量は、大学側が科目間の平均点を意識している証拠でしょう」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事