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崩壊寸前の「民主政治」修復すべきは政治家だ 「大連立」も視野に与野党の合意点を探れ

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日本ひいては世界で散見されるようになった民主政治ルールの逸脱。修復すべき任を負うのは政治家だ。

衆院本会議で追悼演説をする野田佳彦元首相
衆院本会議で安倍晋三元首相の追悼演説をする立憲民主党の野田佳彦元首相(10月25日)(毎日新聞社/アフロ)

民主政治とは、思想や利害の対立を一定のルールの枠内に収め、共存を達成する仕組みと定義することもできる。民主政治による決定はつねに暫定的なものであり、反対者はつねに新たな決定をつくり出すために合法的な手段で働きかける。

しかし2010年代後半から、民主主義国において政治対立がルールの外にはみ出し、言葉による人格攻撃や、最悪の場合、暴力も頻発していると政治学者が嘆くようになった。

つい最近も、中間選挙を控えた米国において、暴漢がナンシー・ペロシ下院議長の自宅に侵入し、ペロシ氏の夫に重傷を負わせるという事件が起きた。犯人は、前回の大統領選挙に不正があったという陰謀論信者と報じられている。公職者はたとえ自分の支持者であっても、ルールのらち外で攻撃する者をたしなめ、民主政治のルールの重要性を飽くことなく強調しなければならない。

その点でドナルド・トランプ前大統領は政治家失格だ。本誌10月29日号の特集「米中大動乱」が伝えるように、米国は経済格差や宗教・文化的争点をめぐって民主党政治家・支持者と共和党政治家・支持者が対立し、熟議が不可能な状態である。指導者には修復への努力が求められているのに、前大統領は憎悪をあおることで自らへの支持を広げている。

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