JAXA監修、鹿児島県立楠隼中学校・高等学校で学べる「宇宙学」の魅力とは? 公立初・中高一貫男子校、全国から生徒集う理由
実際に「宇宙学」を学ぶ高校生の声
一方、生徒たちは宇宙学について実際にどのように取り組んでいるのだろうか。中学から同校に進学し、現在、高校1年生の米満恭平さんに話を聞いた。

宇宙部部長
米満恭平
「この学校を志望したのは、宇宙学もさることながら、ほかの学校にはない楠隼独自の教育活動に魅力を感じ、そこで勉強して自分の将来につなげていきたいと思ったからです。僕は県内の出身ですが、県外からの生徒もたくさんいて、僕のクラスでは栃木県から来た同級生がいちばん遠くから来た生徒になります。クラスではみんながいろいろな方言を話すので面白いですね。寮生活と合わせ24時間、生活を共にするため、それぞれの価値観の違いで対立することもあります。しかし協力し合う環境にあって、お互いに学び合うことができるのが何よりも大きいですね」
米満さんは部活動として宇宙部に所属している。部員は中高を合わせて10人。ロケットの全国大会を目指して、放課後は自作ロケットの開発や改良に取り組んでいる。そうした活動の中から宇宙に対する想像も広がっていくという。

「宇宙についてはまだ誰も答えを知らないし、研究が始まって間もない世界なので、これから自分たちが活躍できる場がたくさんあると感じています。将来的には宇宙に関する新たな産業に携わっていきたいと考えています。今は理系志望ですが、理系にもさまざまな学問があり、文理融合型といった新しい道もあります。まだ高校1年生ですので、将来何を勉強するのかは、これからじっくり考えていきたいと思っています」
宇宙学をはじめ、独自の教育活動で新たな人材育成を目指す楠隼中高。開校して今年8年目を迎え、教員・生徒が一丸となってさらに前へ進もうとしている。石神教頭もこれからの抱負をこう述べる。
「将来がなかなか見えにくく、変化の激しい時代の中で、私たちは社会を導いていけるような次世代型リーダーを育てることを目標としています。宇宙学についても、宇宙好きを育てたいというよりは、宇宙を題材として自分たちで課題を見つけ、仲間と共に協力し合って課題を解決していく力を身に付けてほしいと考えています。本校は中高6年間を通して、仲間をつくりながら、独自の教育活動の下自分の成長を実感できる場所です。しかも全国から生徒たちが集まってくるため、いろんな仲間をつくりながら、一生の友達もできる。これからも多くの生徒が全国から鹿児島の地へ来てくれることを願っています」
(文:國貞文隆、写真:すべて楠隼中学校・高等学校提供)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら