国際バカロレア教育(IB教育)とは?スイスにある国際バカロレア機構が提供する教育プログラムについて解説
とはいえIB教育に対する潜在ニーズはありますので、今後はさらに増えてくることが期待できるでしょう。
IB教育を指導する教員側
では、教員側にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。以下で見ていきましょう。

教員がIB教育を指導するメリット
いちばんのメリットは質の高い教育ができるということです。
日本でも近年「主体的な学び」という形で、学習指導要領の中でもIB教育に近い言葉が使われることがあります。児童や生徒の考えを基に授業を作るのはかなり重要なことです。しかし授業ごとに目標などが異なっているため、何を頼りにして授業を進めてよいのかがわかりにくいことも多いでしょう。教科ごとの目標はあるものの、どういう人物に育ってほしいのかはわかりにくい部分でもあります。
その点IB教育では目標となる人物像が具体的に挙げられているので、授業が進めやすく、質の高い教育を行うことができます。
教員がIB教育を指導するデメリット
デメリットは児童や生徒のフォローが大変だということです。
しっかりと学習についてきている児童や生徒であればよいですが、つねに課題があって忙しい児童や生徒もいます。人によっては学習のモチベーションが下がってしまうことも考えられます。苦しすぎて泣き出す児童や生徒もいますので、そういった人を支えるだけのスキルが教員にも必要になるということです。
高等教育に相当するDP取得のためには、6教科のうち少なくとも3教科は難易度の高いハイレベルを選択する必要があり、他に課題論文や課外学習等もこなしていかなければなりません。そのため場合によっては教員の負担も大きいと感じるでしょう。
また、国によってはIB教育がマイナーなケースもありますので進め方に戸惑うこともあります。周囲に相談相手もいないので、教員自身も苦しくなって指導が嫌になってしまうケースも考えられるでしょう。
日本におけるIB教育
2022年時点で世界では約5,500校近くが、日本国内では59校が国際バカロレアの認定を受けています。実際に日本ではどのようにIB教育が導入されているのでしょうか。それぞれの年代ごとに確認していきたいと思います。

小学校におけるIB教育
基本的には精神面や身体面で大きく成長する時期であるため、バランスよく成長させることが目標です。小学生でもわかりやすいような、身の回りのことを題材にしながら授業を進めていきます。例えば、「私たちは誰なのか」「どんな時代を生きているのか」などのテーマで深く学んでいきます。教科ごとに視点を変えることや、学年が上がれば題材のレベルをあげるなどの工夫をすることで児童が学んだことを身に付けられるよう進めます。