18年間「公立・塾なし・留学経験ゼロ」でハーバード入学させた母が語る、子育てと学習法 世界中「どこでも活躍できる」子どもの育て方

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日頃から若い人たちと接しながら英語教育に従事する真理さん。今の学校教育についてはどのような課題があると感じているのだろうか。

「いろいろな見方があると思いますが、私は親が学校に期待しすぎている部分もあるのでは、と感じています。そもそも学校の先生に、子どものしつけから行く末まで、そのすべてを委ねることなんて不可能です。親たちが学校に期待しすぎると、どんどん学校の負担が増えて、教師になりたい人も少なくなってしまう。今の公教育に課題があることはもちろん誰もがわかっているはず。だからこそ、必要以上に学校に求めるのではなく、親が家庭教育で補うべきではないでしょうか」

情報ギャップを埋めるのは、親のリテラシー次第

最近はインターナショナルスクールをはじめ、特徴のある学校が続々と首都圏などで誕生しているが、真理さんは大分から地方の公教育の現状をどう見ているのか。

「地方では職業選択も限られていますし、周囲の小さな世間を気にして、どうしても保守的にならざるをえない。海外では“自分”が中心にあるのに、日本、とくに地方では“世間”が中心にあるような気がします。そのため、地方では子どもたちが見習えるロールモデルが、まだまだ身近に少ない。ネットがあるから情報は平等といいますが、やはり情報ギャップはあるのです。地方にいながら、よい情報を得られるかどうかは、家庭のリテラシーにかかっているのです。私は毎年ハーバードの学生などを呼んでサマースクールを開催していますが、それも、身近でハーバードの学生と触れ合えるということが重要なのです。もっと多くの地方の学生に参加してほしいと思っています」

娘のすみれさんと共同で開発した、ハーバードの学生が講師を務めるサマースクールのプログラム「Summer in JAPAN」。ハーバードの学生(左)と、「Summer in JAPAN」に参加した子どもたち(右)

そんな真理さんが今提唱しているのが、子どもたちをトランスナショナル人材に育てることだ。トランスナショナル人材とは、文字どおり、国の枠組みを超えて活躍することができる人材のことだが、そうなるためには、子どもたちをどのように学びに導いていけばいいのだろうか。

「すべては親と子どもの関係性が重要です。例えば、もし子どもが100点満点で20点しか取れなくても、『20点分、賢くなったね』というように言葉の言い換えをしていくことです。そうすれば子どもは自立して、結果的に主体的になっていく。人はけなされると当然ながら傷つきます。小さな失敗でも、大人がけなし続ければ、子どもは手に負えないネガティブマインドの持ち主になってしまう。日頃から意識して言葉を言い換え、つねにポジティブなコメントを心がけることが大切なのです」

長年海外に触れ、英語や英語教育に精通し、著書も多数発表している真理さん。最後に英語の効果的な学習について、ワンポイントアドバイスをもらった。

「ディリーゴ英語教室」のオンライン授業の様子。日本全国だけではなく、海外からも入会希望の子どもが集まっているそうだ

「文法をしない。和訳をしない。ローマ字学習をしない。書き取りをしない。歌とゲームをしない。つまり、今の初級者がやっている勉強をすべてやめることなのです。皆さんは英語の勉強の準備ばかりをしています。公立高校入試の英語で使う文法はネイティブで言えば、幼稚園の年長さんくらいのものです。英語の勉強は、準備などしないで最初から使えばいいのです。そうやって臆せず英語を使えば、マインドセットにもつながり、複数の視点を得られるようになります。関係代名詞とは、などの難しい文法用語を覚える必要はありません。皆さんには、ぜひ楽しみながら、使える英語を学んで、世界のどこでも活躍できるようになってほしいと思っています」

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