日本電産、振り出しに戻った「ポスト永守」選び 「社外にいい経営者がいると錯覚していた」
新社長に永守会長の「子分」を登用するも、次世代を担う後継候補の育成が急務に。
カリスマ経営者の後任選びは、またもや振り出しに戻った。
9月2日、モーター世界最大手の日本電産は日産自動車出身の関潤社長兼COO(最高執行責任者)が同日付で辞任し、小部博志副会長が後任となる人事を発表した。同日に開いた記者会見で、永守重信会長は「後継者選びにおいて時間がかかったのは私の責任。社内よりも社外にいい後継者がいると錯覚していた」と述べ、自らの人選が間違っていたことを認めた。
立て続けに頓挫した後継選び
一代で売上高2兆円弱、時価総額5兆円超の大企業を作り出した永守氏も、この8月で78歳になった。「ダイキン工業の井上(礼之)会長や、信越化学工業の金川(千尋)会長、(有名投資家の)ウォーレン・バフェット氏は私より年上で活躍している。年齢のことをとやかく言われる筋合いはない」(永守氏)。
一方、力を入れている大学運営や、書籍の執筆などに集中したい意向を持っており、後継者選びは急務だ。
この10年、外部からの後継者選びは難航した。2013年には日産系部品メーカー、カルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精氏、2014年にシャープ元社長の片山幹雄氏、2015年に日産元幹部の吉本浩之氏と、外部から後継候補を受け入れたが、いずれも短期間で頓挫。日産の次期社長候補と目されていた関氏の招聘は、こうした問題に終止符を打つはずだった。
2020年に関氏が入社してからは、日本電産が最も力を入れる電動車向け駆動モーターなど、車載ビジネスを任せてきた。そして2021年6月には、永守氏が長年担ってきたCEO(最高経営責任者)を関氏に譲った。当時、関氏について永守氏は「決断力や人格も後継者としてふさわしい」と語るなど、信頼を寄せていた。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら