小児神経専門医が警鐘、問題生む「不登校=起立性調節障害」という誤解 加藤善一郎「背景に中学校の『かくれ校則』も」

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――こころの校医をはじめ、積極的に学校や自治体と連携されていますが、今後どのような取り組みが大切になると思われますか。

こころの校医は、各学校に必要だと思います。そのためにも人材育成は課題です。精神科ではODなどの身体的な部分への対応が困難で、内科では精神的な対応が困難、そして医療者が「子どもの生活」を理解し支援することが難しいのが現状で、ワンストップで対応できる人材が少ないのです。

私はたまたま小児科医と小児神経科医のベースがあり、かつ学習を含めた毎日の生活の大切さを発達診療を通して実感しているのでワンストップで診療していますが、不登校の問題はやはり心・体・生活面を総合的に診るスタンスが必要です。草潤中での経験を生かし、興味のある医師の方にはノウハウを伝えていきたいですね。

また昨年から、ODの理解促進や事例共有などを目的に、教師、スクールカウンセラー、医療者からなる「教育医療連携ネットワーク」という研究会もオンライン上で始めました。学校と医療との連携には“ぶっちゃけ話”ができる場が必要だと感じていて、Slackなどを使って普段から事例共有や意見交換ができる仕組みも稼働させたいと思っています。

――夏休みが明けましたが、先生方はどんなことに気をつけたらよいでしょうか。

9月1日は子どもの自殺が最も多い日として知られていますが、学期始めはODの子に限らずみんな緊張しています。そこへいきなりテストを行う学校がありますが、そういうことはできればやめていただきたいです。

また、困り事や体の不調を抱えている子どもは必ず何らかのサインを出しているので、見逃さないようにしてください。先生方も毎週月曜日は何となく気分が重いと思うのですが、同じように子どもたちも頑張っています。とくにODや発達特性のある子どもは、自分だけが悪いと思いがちです。

でも、誰でも得手不得手はあるし、個性や特性がありますよね。不登校もODも、誰が悪いとかいいという問題ではありません。だから「おたがいさま」のスタンスで子どもたちに接していただきたい。その視点に立つことから第一歩が始まるのだと私は考えています。

(文:崎谷武彦、注記のない写真:PanKR/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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