景気後退リスクで米FRBは来年に利下げ転換か 手痛い傷を負った債券投資家にとって「福音」に
米連邦準備制度が米経済のリセッション(景気後退)を招かずに40年ぶりの高インフレを抑制できるとの見方に投資家は懐疑的だ。
食品や家賃、燃料の価格が高騰する中、景気悪化見通しに直面することになる米国民にとっては悪いニュースだ。だが、今年大きな損失に見舞われている債券投資家にとっては、リセッション入りに伴い見込まれる来年の米利下げ転換によって、さらなる痛みは短命にとどまることを意味する可能性がある。「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」の最新週間調査結果が示した。
同調査の回答者1343人の60%超は、米金融当局が経済収縮を招かずに消費者物価圧力を抑えることができる確率は低い、またはゼロと答えた。個人やプロの投資家などを対象に今月18-22日に調査が実施された。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トレーシー・チェン氏は「米連邦準備制度によるインフレ対応がうまくいくかどうかは、非常に困難な課題であるため不透明だ」と指摘する。
「米金融当局が今後、リセッションリスクの高まりに見向きもしないとは思わないが、同時に当局はインフレに軸足を置いている。このため、私は米国債になお弱気だが、恐らく利回り上昇局面の終わりには近づいている」と同氏は話した。
米10年債利回りは向こう9カ月に、3.7%を下回る水準でピークを打つと、回答者の約3分の2が分析している。
10年債利回りが22日に2.8%を割り込んだことを考えると、この水準まで実際に上昇すれば債券強気派にとってはきつい話だが、今回見込まれている利回りのピークは6月に付けた3.5%からそれほどかけ離れているわけではなく、この想定を基にすれば、全体の損失は先月に比べて大幅に悪化することもないことになる。
最新のMLIVパルス調査では多くが2023年の米利下げ開始を見込んでいる。