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参院選与党圧勝でも憲法改正は実行不可能だ 自民党と公明党で9条をめぐる溝がある

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7月10日に投開票が行われた参議院議員選挙では、自民党が圧勝した。任期6年の参議院議員は定員250人だが、3年ごとに半数(125人)が改選される。今回、自民党が63議席を獲得し、非改選議員と合わせると119議席を獲得することになった。改選前と比較すると8議席増の圧勝だ。

新聞の報道を見ると、憲法改正の可能性が高まってきたという印象を受ける。憲法改正に賛成する自民党、公明党、与党系無所属、日本維新の会、国民民主党を合計すると178議席で、憲法改正発議のために必要とされる議員の3分の2(167議席)を超えたからだ。衆議院でも憲法改正に賛成する議員が3分の2を超えているので、理論的には憲法改正が政治日程に上ってくることになる。

岸田文雄首相(自民党総裁)は11日、参院選の勝利を受けて党本部で記者会見を開いた。憲法改正に前向きな「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2を参院で維持した結果をめぐり「できる限り早く発議にいたる取り組みを進める」と表明した。改憲を政権運営の中心に据える考えだ。(7月11日「日本経済新聞」電子版)

しかし、実際には憲法改正に着手することはそう簡単でない。どんな内容を盛り込むかで、各党の見解がバラバラだからだ。とくに憲法9条の改正については、公明党が慎重な姿勢を崩していない。

公明党の山口那津男代表は(7月)10日の投開票後に「数合わせでなく、どういう合意を目指すかが大事だ。国民の理解を伴わなければ発議に到底及ばない」と強調した。公約でも「自衛隊を憲法上明記すべしとの意見があるが、多くの国民は違憲とみていない」と記した。(前掲「日本経済新聞」)

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