プログラミング分野の「男女比8対2」の社会的損失、女子のIT教育に見えない壁 ジェンダーギャップ解消を図るには工夫が必要

「21年のイベント終了後、女子の興味を引いて多数の参加者を集めたワークショップをはじめ、主催者側に集積されたさまざまなノウハウを、今回参加する事業者にお伝えしています。それを参考にしながら、各スクールで趣向を凝らしたワークショップを実施。中には、女の子の憧れの職業体験をしながらプログラミング的思考を学ぶワークショップを4回開催したところ、合計で400人もの参加者を集めたイベントもあったほどです」(沼田氏)
ほかにも、お笑いタレントがプログラミング講師となって、持ちネタを生かした音楽ゲームを一緒に作る、女性講師がオンラインゲームで参加者のアイスブレイクを図った後、プログラミングを取り入れて自由に創作活動を楽しむ、デコったアイテムをプログラミングで動かす、占いゲームを作るなど、女の子の「好き」「かわいい」という気持ちを酌んだワークショップが人気を呼んだという。

もう1つ、保護者向けのセミナーを開催したこともポイントだ。「プログラミング教育に関心のある保護者の皆様は、子どもにとってよりよい将来が開けるような活動を何かさせたいという思いを強く持たれている方が多いです。そこをサポートすることが大切」(谷口氏)と考えているからだ。
22年6月に、「コエテコ byGMO」が船井総合研究所と共同で「プログラミング教育市場規模」を算出したところ、22年の子ども向けプログラミング教育市場は前年比113.2%の199億円となった。この勢いは止まらず、25年に500億円、30年には1000億円超の市場規模に達する可能性があるとしている。
こうした市場への期待感から、さまざまな企業がプログラミング教育事業に参入してきている。だが、その一方で運営がうまくいかないスクールがあるのもまた事実だ。この課題を解決するカギの1つは、やはり女子の参加を促すことにあるといえるのではないだろうか。
(文・田中弘美、写真:「KIKKAKE」提供)
東洋経済education × ICT編集部
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