高知の教員「のざたん」が学校外に「子どもが無料で学べる場」をつくる訳 「会いに行けるセンセイ」が語る地方の教育課題
「大人が子どもに教えるのではなく、とにかく子どもたちが主体となって活動できる仕組みをつくっていきたいです。例えば、子どもたちが作ったものを売ってもいいし、そのためのサポートを大人がしていくイメージ。とくに場所を無料で使うことができるのは子どもたちにとって大きなメリットだと思います」
一人ひとりが「学びの主語」となり成長できる場を
少子化が進み疲弊する地方では今、現状を打開しようとさまざまな試みが行われているが、解決しなければいけない課題は多い。野崎氏は、そういった課題解決につながる場としても機能させたいという。
「企業勤めをしていた私は、人とのつながりから仕事のコラボレーションが生まれる瞬間を見てきました。一方、地方ではみんなで集まって何かをする場所がなく、何かが起こりそうだという空気も感じづらい。地方はそもそも人手が足りておらず、子どもたちが課題解決に力を貸してくれたほうが、町はハッピーになると思うのです。子どもたちだって自分の手で課題を解決できたほうが『ここはいい町だな』と思えるのではないでしょうか。大人も子どもも一緒に集まってチャレンジできる場にできればと思います」
最近では、ほかの地域でも、会いに行けるセンセイのような活動をしたいという教員たちが出てきたそうで、野崎氏は少しずつでいいので教員と社会がつながるような場もつくっていきたいと語る。
「学校の先生は昨今、魅力のない職業のように語られていますが、私は学校の先生という役割が、社会でもきちんと役に立つことを証明したいと思っています。実は世の中は先生を求めていますし、困っている人がいたら助けたいと思うのが先生です。先生がもっと社会に開かれるといいなと。そして、先生と保護者、企業も含む社会がコミュニティーを形成し、一人ひとりが『学びの主語』となって自分らしく成長する場をデザインし、広げていきたいと考えています」

一般社団法人ハンズオン代表理事(共同代表)、土佐塾中学・高等学校教諭
東京学芸大学教育学部卒業。ベネッセコーポレーションを退職後、高知へ移住。教育現場を渡り歩き、2020年から土佐塾中学・高等学校で教諭として勤務。現役教員と話したい人や相談したい人が、学校の外側でフラットに対話できる取り組み「会いに行けるセンセイ」を展開。大人と子どもが共存して学ぶ「場」を整えるため、22年3月に一般社団法人ハンズオンを設立し、代表理事としての活動も始めている
(文:國貞文隆、写真:野崎浩平氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
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